国語教育いろいろ

高校、大学の現場での議論のいろいろです

現実の社会での「対話」

現実の社会での「対話」

福島の未来会議の番組が興味深かったので
紹介します。

こういう対話の場が社会に希望の種をまくような気がします。

各自の最後のまとめは、
「結論」ではなく、
対話を通して生まれてきた
「問い」を書き出すそうです。
それも興味深いです。

対話の授業の参考になるかも。

事務局長の菅波香織さんは弁護士。

https://www.nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP/episode/te/RJ6KL21L1V/

 

話し合いの形

話し合いの形

送られてきたレポートの中で
話し合い、グループワークについて触れたものが目立ちます。
模擬授業でも、
話し合い、グループワークという活動が、
授業の核になることが多かったですね。
場が生き生きとし、 
個々の思考も動きます。
一方、課題も。
少しまとめてみます。

ーー

話し合いについての反省で、
いつも行き着いていたのは、
⭕️何のための話し合いーグループワークか?
でした。
それは「別にグループやペアでやらなくてもいいんじゃない?(むしろ一人で考えたい)という感想がわいたり、
「何を目指して話し合ってるのか、よくわからない」という状態になったりしたときに浮上してくる問題でした。

⭕️話し合うことの利点は何か?

これをしっかり意識して、
授業の中に位置づけ、
生徒たちもようく納得して取り組めるようにする必要がありますね。

ーー

大雑把に言って、
話し合いには、大小2タイプあると思います。

⭕️理解を確認したり、書く内容を掘り起こすための補助的な相談

もう一つは、

⭕️大きな問い(意見、解釈が分かれる可能性もあるような)について考えを深めていくもの

(ほんとは3つ目もあるな。それは、⭕️雑談。いわゆるアイスブレイキングとしてやるやつね)

ーー

日常の話し合い、相談の次元を思い浮かべてもこの2タイプがあることに気づきます。
「あれ、なんやったっけ。これでええんかな」
「おれはこうかなって思うねんけど、どうかな」「私はこう思うわ」「あー、それもありやな」
こんなのは、前者の〈相談〉です。

ーー

「次の大会やねんけど、もう前みたいな失敗はしたないよな。どういう戦略でいくか、今日は話したいと思います」
キャプテンがこんな風にマジで始めるようなのは、後者。

ーー

二人で話すのか、
四人で話すのか、
どのくらいの時間をとるのか、

進行や記録係を置くのか、
班の意見をまとめるのか、
まとめた意見を全体で共有するのか、
一つの答えに集約するのか、
それぞれの答えのままにするのか、
この話し合いから次の問いを取り出すのか、
‥‥こういうことは、
どれもその目指すところによって決まります。

⭕️私たちは目的に合わせて方法を選択する

ここについて自覚的でないといけない、
これが繰り返し課題として出ていたと思います。

ーー

みなさんはどんなことでも話し合える〈からだ〉になっていましたが、
教室によっては必ずしもそうではない。

⭕️何か言いたい、言うべき内容を持っている状態にする

教師の役割として重要なポイントです。
大きな問いについて、いきなり、
「さあ、話せ」
と言われて話せる中高生はそんなに多くない。
ていねいに段階的に

⭕️全員が何か言える

状態に持っていく。どうすればいいか。
授業を構想するとき、その試行錯誤がなされないといけません。

ーー

教師は生徒が頭の中で考えていることは見えません。
沈思黙考して何かメモしてるような、
そういうとき、じつはもっともよく言葉の神経が動いています。
その時間はとても大切。
で、たとえば、その思考の断片をアウトプットできるような課題、ワークシートなどを工夫する。
その作業の様子を教師は巡回してモニターする。ここでの発見がとても大事だと、経験から思います。
お?と思う。で、これは?と尋ねる。
本人も、まだ断片なんだけど、聞かれたから、
何か言う。教師はその尻尾をつかんで、少し引っ張り出す。形になってないものを、ちょっと形にさせてみる。

おー、それおもしろいな。なるほどー。あとでグループで話すとき、みんなに言うてな。
こうしておくと、その子はもう言いたいきもちになってきます。
これは

⭕️話す前にメモなどで内容をアウトプットさせる

という方法です。
この段階ではまだ断片的で混沌としていても
このタネがあれば、話に参加できる。
モチベーションが生まれます。 

⭕️〈書く〉と〈話す聞く〉をうまく組み合わせる

ーー

40人を相手にするときは、
班に分けるのがふつうですが、
四人班にしても10班できます。
一人で10班に対応するのはなかなかたいへん。
班への対応、個々への対応、そして、教室全体のコントロールも同時におこないます。
さらに、それらをどう集約し、共有するか、も考えておかないといけません。
このときもやはり、書く、という活動を組み込むことが鍵です。

ーー

声がしている話し合いの時間。
一人で考え、書いている静かな時間。
発表を聞いている全体的な時間。
先生が話している聞く時間。
こういうさまざまなモードの組み合わせが
国語教室です。

これらのどこかのタイミングで、
あるいは聴きながら、
書く、ということを入れていく。
最近はメモ→投稿という形もよく取ります。

また、
班での意見の集約に
全員で編集できるICTの機能を使うことも。

書かれたものがあれば、
その場ではできなくてもあとから編集、共有できます。

書くことで
話し合いがその場で消えてしまわず、
からだに刻まれるものになります。

ーー

五限の最終回でやられた
「哲学対話」という形は興味深かった。
半数が輪になって椅子に座り、
半数はそれを取り囲んで机付きで座る。
椅子組が話し合い、
机組は聴きながらメモを書く。

このスタイルは、
班別に、孤島のように離れていた話し合いを
全体で行う工夫になっています。

後半、机組はメモを白板に貼った上で
椅子組と交代し、今度は話し合う番になる。

話すー聴くー書くー貼るー読むー共有する。

40人では、同じ形は物理的に大変ですが、
やれないことはない。

四限で行われたパネルディスカッション、
また、シンポジウムのかたちは、
話すチーム/聞く(書く)チーム
に分ける点で哲学対話の形式に近いものがあります。

応用として、
ある班の話し合いそのものを
みんなでモニターし、
それを刺激としてフロアが発言する、
またさらに班に分かれて議論する、
といった形が考えられます。

ーー

こういう話し合いのいろんなスタイルは
繰り返し体験することが効果的です。
慣れること。

現代の国語の教科書資料にあった
いろいろな話し合いのスタイルを
もう一度見てください。

どんなときにはどれが適しているか、
みなさんにはわかると思います。

ーー

社会的にも

話し合いのいろんなやり方が
試みられています。
それぞれに目的があり、
それに適したやり方が追求されています。
その中には国語教室でも応用ができるものもあると思います。

大学の他の授業で経験した方法なども
積極性に取り入れてみてくださいね。

ーー

参考にいくつかリンクをつけておきます。

哲学対話

https://kansai.p4c-japan.com/docs-jp/guides/

オープンダイアローグ

https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/seikatsu/hikikomori/kyougikai/R050213.files/13_shiryo.pdf

交渉学

https://synodos.jp/opinion/info/19602/

関西大学は拠点の一つ。土五限の先輩(今は国語の先生)もやってました。私も見に行きました)

 

国語教育いろいろ記事一覧(古い順)2024/01/31

 

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【目次】国語教育いろいろ記事一覧 2024-01-31

【目次】国語教育いろいろ記事一覧 2024-01-31

2024-01-01から1年間の記事一覧

2024-01-31
夢十夜第六夜――文学作品の授業の過程
夢十夜第六夜 いろんな学びを生かして、念入りに準備された授業でした。 ⭕️分析ー解釈というラインこの二つの次元を分けるという方法は他のみなさんも意識しておいてください。文学作品の授業の過程には、例えば、こんなものがあります。 ◯初読のなんとなく…

夢十夜第六夜――文学作品の授業の過程

2024-01-31
ありのままの世界は見えない――スモールステップ/例を用意する
ありのままの世界は見えない――スモールステップ/例を用意する 模擬授業お疲れ様でした!みんな来てくれてよかったね。 今日の鍵は、⭕️導入(第一時)の扱い方⭕️事例の扱い方⭕️教師の役割といったところでしょうか。 教科書のとは違う「だまし絵」を持ってき…

ありのままの世界は見えない――スモールステップ/例を用意する

2024-01-31
塞翁が馬――内容の深め方
塞翁が馬――内容の深め方 模擬授業お疲れ様でした!内容ど真ん中に迫ろうとする、とてもおもしろい内容でした。 内容はわかりやすく、下手すると、何も思考することなく、理解したつもりになってしまいそうなお話です。しかし、今日やったように、深め方はい…

塞翁が馬――内容の深め方

2024-01-31
魯迅「故郷」
魯迅「故郷」 模擬授業お疲れ様でした。戦後の中学の、文学教材の定番中の定番。挑んでくれてありがとう。 この作品が古びないのは、今日取り上げられたあのラストの「転回」に、私たちが、希望ー思想を現実にしようとするときに働く、根源的なモメントがあ…

魯迅「故郷」

2024-01-31
聞く力――話す聞く活動
「聞く力」の模擬授業お疲れ様でした! 話す聞く力というのは、最も日常的であり、社会的であり、ほとんど人格にも関わるような本質的な言葉の力なのに、その効果的なレッスンが、学校でじゅうぶんになされているとは言いがたいです。 今日の授業をきっかけ…

聞く力――話す聞く活動

2024-01-31
コインは円形か補足 ――アクティブラーニングのアクティブって?
コインは円形か補足 模擬授業お疲れさまでした!生徒にじっくり考えさせたい、という意図はよく理解できます。 活発そうに見えるけれど、本質的な思考は何もしていない、という教室はあります。 というかアクティブラーニングが流行語になったころ、心配した…

コインは円形か補足 ――アクティブラーニングのアクティブって?

2024-01-31
檻の中の街 模範解答を用意すべきか
「檻の中の街」の模擬授業を見て この国で生活していると「難民」は遠い存在です。教科書の編集意図としては、「写真と文章の情報伝達の違い」という情報処理ベースの課題とは別に遠い存在をありありと理解する、しようとする態度や想像力にも焦点が当てられ…

檻の中の街 模範解答を用意すべきか

2024-01-23
村上春樹「鏡」ー多様な解釈への離陸
模擬授業、お疲れ様でした!いろんな解釈が可能な小説、その本丸に挑んでくれました。 国語教室を運営するときのポイントもおさらいしつつコメントします。 ⭕️参照範囲の限定 40人分の視線を制御するのはほんとにたいへんです。問いを生徒に投げたとき、生徒…

村上春樹「鏡」ー多様な解釈への離陸

2024-01-19
やっぱり好きな食べ物
陸上の田中希実選手と黒柳徹子の対談をテレビで見た。冒頭、田中選手が「緊張でうまく話せるかわからない」というと、間髪を容れず、「好きな食べ物は?」って黒柳徹子が聞いた。シュークリームとかなんとか田中が答えて、一気に場が和んだ。やっぱり、食べ…

 

2023-01-01から1年間の記事一覧

2023-12-22
セミロングホームルーム
模擬授業お疲れ様でした! おもしろい教材でしたね。 やりたいこともはっきりしていたし、 そのための準備も入念でした。 話題になった 「どう読ませるか」問題。 整理しておきます。 ⭕️一読/再読 ⭕️黙読/音読 ⭕️全読/部分読み 実際には、 これらの組み合…

セミロングホームルーム

2023-12-22
枕草子 春はあけぼの 中学古典
古典への興味をどうやって喚起しようか、 という観点から構想された単元案だったと思います。 協議での意見も参考にし、 現場の実態も捉えながら、 進化させていくことができるだろうと思います。 ⭕️五十音図 ○先生が言われた五十音図。 高校の導入では必ず…

枕草子 春はあけぼの 中学古典

2023-12-22
「小さな手袋」(内海隆一郎)中学二年
模擬授業、お疲れ様でした! 色んなツールを駆使した授業でしたね。 小説を読むことに役立つツール、スキルを学ぶ という意図もはっきりしていました。 それはどんなものなのでしょう。 今日出ていた観点をもう一度確認して、 そういうスキルを あの教材、ま…

「小さな手袋」(内海隆一郎)中学二年

2023-12-06
枕ー大納言参りたまひて 語り口、誰がいるか
みなさんの意見のなかから 共有しておきたいことを覚えとして書いておきますね。 ⭕️語り口 模擬授業担当者のあの語り口、持っている雰囲気は、財産です。誰もがそれぞれの個性を潜在させていますが、自分では気づかないときもあります。公開授業で指摘しても…

枕ー大納言参りたまひて 語り口、誰がいるか

2023-11-27
古典の準備 「方丈記模擬授業」補足とまとめ 2017.5
方丈記模擬授業」補足とまとめ ○指導者は、・完全な品詞分解と正確な現代語訳に加え、・話の本質を捉え、生徒に伝わる(現代的な・日常的な・場合によっては若者言葉的な)表現も考えておく。・書き手の動機、書き手の置かれた(描かれた話題の)歴史社会…

古典の準備 「方丈記模擬授業」補足とまとめ 2017.5

2023-11-27
ありのままの世界は見えない
模擬授業お疲れ様でした!みんな来てくれてよかったね。 今日の鍵は、⭕️導入(第一時)の扱い方⭕️事例の扱い方⭕️教師の役割といったところでしょうか。 教科書のとは違う「だまし絵」を持ってきたのは、おもしろかったです。生徒の意見を整理するときに、人…

ありのままの世界は見えない

2023-11-27
象は鼻が長い
昨日、協議で言及があった『象は鼻が長い』について少し補足します。これは三上章という人の本のタイトルであり、そこで取り上げられた有名な例文です。 昨日の授業の手順どおりやるなら、⭕️文末にある「長い」に述語の印を入れる⭕️何が長い?、何は長い?と…

象は鼻が長い

2023-11-21
言語文化としての「夢十夜
先日の模擬授業などを通して、思いついたことを書いておきます。 第一夜には「夢」「男と女」「生死」「時間」といったモチーフが出てきます。 そう思ってながめると、これは古典とつないで考える単元が構想できるのではないか、と思ったのです。「夢」つな…

言語文化としての「夢十夜

2023-11-21
万博についての討論の授業
(2018.12)*5年前に万博について討論する模擬授業が行われていたことを発見。大学生おそるべし。ーーーー実際の教室でやってみたいと思うアイデアでした。高校生にやらせるなら、●万博を意義あるものにするための課題は何か?という問いかけにしようと思い…

万博についての討論の授業

2023-11-21
伊勢芥川ー思いを遂げた瞬間、失うということ
(2017.4)【伊勢物語芥川の模擬授業後】今日の伊勢の芥川について、あの話は、「想う人と思いを遂げたと思った瞬間にそれを失う」という、一つの話型なのだと気づきました。帰りの電車で。 あそこで永遠に失われたのは、「あれはなあに?」(不安)「あれは…

伊勢芥川ー思いを遂げた瞬間、失うということ

2023-11-21
夢十夜第一夜の模擬授業
生まれて初めての模擬授業お疲れ様でした! 文学に挑んでくれて、 みんなの学びにもなったと思います。 小説はやっぱり生徒の記憶にー心に残ります。 「論」とは違って、 具体的な色形のある世界を味わうからでしょうね。 だからこそ、そして、教室でわざわ…

夢十夜第一夜の模擬授業

2023-11-13
「ちくま評論入門」「ちくま評論選」 の解説
進学校でよく使われている「ちくま評論入門」「ちくま評論選」の解説へのリンクを貼っておきます。私が書いたものです。生徒は、試験前、これを手元に置いて準備してたなあ。高校の教科書や入試問題で読んでいたような評論をもう一度、しっかり読んでみたい…

「ちくま評論入門」「ちくま評論選」 の解説

2023-11-12
まわしよみ新聞実践記事
まわしよみ新聞の実践記事。 朝日新聞https://www.asahi.com/articles/ASL6P0D6RL6NPTIL05S.html 三省堂https://tb.sanseido-publ.co.jp/kokugo/Info/magazines/h-kokugo/pdf/pr_16_sum/2016_sp03.pdf むつさん読売教育賞2017 https://kyoiku.yomiuri.co.jp/

まわしよみ新聞実践記事

2023-10-27
序論 本論 結論? 書くための型
NHK国語表現を参考に序論本論結論とは何かをまとめると下のようになります。https://www.nhk.or.jp/kokokoza/kokuhyou/contents/resume/resume_0000003564.html?lib=on ⭕️序論は、問題を提起した上で、結論を予告する。⭕️本論は、序論で述べた問題提起に対す…

序論 本論 結論? 書くための型

2023-10-19
文章は上手くなるのか
(ある質問)一部略とある大学の先生たちと話している時に「学生の文章力が著しく低い。論文指導するのも辛い」と言われました。そういえば、先週の模擬授業で今時の学生は本も新聞も読まないということを同じグループになった人たちに教えてもらいました。…

文章は上手くなるのか

2023-10-18
コインは円形かー授業の後にー論理的、同格
お疲れ様でした。 難題に挑む心意気やよし。 自分が読んでわからないところは、授業のキモです。 生徒もわからない。 しかしそこを突破すれば、 雲の中を突き抜けるように全体が見えてくる。 そういう箇所があるのです。 それを見つけるのも、 教師の力量。 …

コインは円形かー授業の後にー論理的、同格

2023-08-25
根源的な自発性を自発的に涵養する : 国語科教育法という場(関西大学教職支援センター年報 2022)
根源的な自発性を自発的に涵養する : 国語科教育法という場https://kansai-u.repo.nii.ac.jp/record/2000092/files/KU-1200-20230720-05.pdf ⭕️または以下の2022 https://www.kansai-u.ac.jp/kyoshoku/statistics/report.html kansai-u.repo.nii.ac.jp

根源的な自発性を自発的に涵養する : 国語科教育法という場(関西大学教職支援センター年報 2022)

2023-07-05
夢十夜 一夜、六夜、そして七夜を通して。
一夜、六夜、そして七夜を通して。 自分という一人の話者が見た夢という立場から見てみたい。 彼の心の中のある状態がこれらの夢として形作られているとすると、 そこにはある感触が共通していると思われる。 それは、 不安や迷いの沸き立ちと、それに対抗し…

夢十夜 一夜、六夜、そして七夜を通して。

2023-07-05
水の東西 鹿おどしのコーンという音
客観的な対比として読んでしまうと 違和感があふれる。 しかし現場では評論の対比スキルのための教材としての需要がある。 ーーいつも、教科書に採るか否かの議論が紛糾します。 飯間さんの日本の東西の分け方についての文章は、 水の東西の分け方に対するダ…

水の東西 鹿おどしのコーンという音

2023-07-05
夢十夜 第一夜 「そら、そこに、写ってるじゃありませんか」問題
●出た意見例メモ 2023/4/22分 夢十夜第一夜 ・夢だとはじめに言ってしまうわけは?・女と自分の関係は?・自分はこれを夢だと自覚しているのか?・女という呼び方から、知らない人なのでは?・死にそうに見えない→死ぬな、の変化はなぜ?・女は「自分」に向…

夢十夜 第一夜 「そら、そこに、写ってるじゃありませんか」問題

2023-07-05
コインは円形か、のポイント
・コインは円形か、のポイントは、表現のしかたによって見方が変わる、ということです。 ⭕️本来のレトリックとは、私たちの認識と言語表現の避けがたい一面性を自覚し、それゆえに、もっと別の視点に立てばもっと別の展望がありうるのではないか……と探求する…

コインは円形か、のポイント

2023-07-05
「コインは円形か」補足
「コインは長方形だ」への違和感があんなにあるとは思いませんでした。 「コインには視角によっては長方形にも見えるよね」に同意してもらうことが、議論の出発点になってるのですが、そこでつまずく 可能性があるということがわかりました。 導入の事例とし…

「コインは円形か」補足

2023-03-12
原発にあらがい続けて〜早川篤雄「福島からの伝言」
原発にあらがい続けて〜早川篤雄「福島からの伝言」〜見てほしい番組です。 僧侶であり、国語教師であった早川篤雄さんの人生が、 ご本人の語りとともに紹介されます。 番組内で ともに 福島原発の建設の反対運動を展開していた やはり国語教師の 吉田信さん…

原発にあらがい続けて〜早川篤雄「福島からの伝言」

2023-03-04
ディベート
ディベートは世界を失わせる。 https://twitter.com/yamagiwa_j_bot/status/1631554830295547907?s=46&t=iTj_QLLZ8YVLe-Ez3AFdVw

ディベート

2023-02-09
土5限のような場が成立する条件は何なんだろう?
土5限(国語科教育法)のような場が成立する条件は何なんだろう? そう思い、レポートを読み直し、 その観点を中心に抜粋し、整理してみました。 参加者が気づきを得、全体の中で進化していくためには何が必要なのか。 みなさんも考えてみて下さい。 (視点…

土5限のような場が成立する条件は何なんだろう?

2023-02-08
古典観の転換と拡充
「古典」と聞いて思い浮かべる国学的な古典のイメージから、確かな思考の土壌としての古典への古典観の転換が必要だとずっと感じている。 「大学生にオススメな本のリスト」をアメリカの有名大学が公開、大学生は一体どんな本を読むべきなのか?https://giga

古典観の転換と拡充

 

2022-01-01から1年間の記事一覧

2022-12-18
自分が受けた古典の授業のやり方
自分の受けてきた古典の授業のやり方でいいのか、が話題になりました。 1 文法の基本知識を一通り学ぶ。辞書の引き方を学ぶ。 2 本文をノートに写す。 3 自分なりに品詞分解と現代語訳をして授業に臨む。 5 授業で当てられたら、訳や文法を答える。 4 先生は…

自分が受けた古典の授業のやり方

2022-12-03
国語とICT
ICTの利用価値は、 二つに分けて考えてください。 1 従来のスライド的な使い方。 これは、明治時代からやってます。 幻燈が、 プロジェクター、パワポ、 電子ファイルに変わっただけ。 全体にテキストを映すというのも、 黒板に書くことの代替。 ただかんた…

国語とICT

2022-12-03
スマホとパソコンの言語的問題
「パソコンでプログラミング(創造)はできますがスマホではできません。似たような事はできても、誰かが作ったものを使っています。」 この指摘は、 じつは言語に関わる重要な問題です。 言語には、 社会を支配し、 構成する力がある。 そして、 ある時空にお…

スマホとパソコンの言語的問題

2022-12-03
部分と全体
文章を理解するとき、 部分と全体の問題は、 本質的な課題となります。 部分が全体を支えるだけではなく、 全体もまた部分を支えているからです。 事実と意見から成る部分的ブロックが、 幾層にも積み重なって 文章全体が構築されます。 ただ文章は、 図形や…

部分と全体

2022-11-22
二頭の馬がはしるとき
木の葉は赤や黄に。 図書館の森にも落葉満ち敷く。 試験前日の木曜から 閉館は三時になります。 試験が終われば十二月。 三年生は、 授業によっては 一月の共通テストに向けて 問題演習をしています。 国語の問題集の中に こんな詩が載っていました。 一行一…

二頭の馬がはしるとき

2022-11-19
漢字の取り立て授業
今日は漢字の取り立て授業の提案でした。 漢字の問題は、 教室でのタブレットの普及に伴い、 ますます問題化してくると予想されます。 漢字の表音文字化は どんどん進んでいる実感があります。 生徒の誤字の中に以前では考えられないような、 同音異義の使い…

漢字の取り立て授業

2022-10-30
羅生門――「なぜ」と過程
羅生門――「なぜ」と過程 次のような質問がありました。 「授業の最後におっしゃっていた「なぜそうなるの?」の発問に関してです。これは、その考えに至った過程を一つずつ解きほぐすように問うていく、という認識で間違いないでしょうか?」 その通りです。…

羅生門――「なぜ」と過程

2022-10-29
文法――発見的・体験的方法
「方法はもっと緩やかな体験的なものを採用するのがいいのではないでしょうか。」 というご意見を補足し、 実際に行われている方法を 少し紹介します。 「国文法」を発見したのは、 江戸時代の国学者たちです。 彼らは、彼らにとってもすでに「古文」であっ…

文法――発見的・体験的方法

2022-10-29
I was born 投稿を読んで
I was born 吉野 弘 確か 英語を習い始めて間もない頃だ。 或る夏の宵。父と一緒に寺の境内を歩いてゆくと 青い夕靄の奥から浮き出るように、白い女がこちらへやってくる。物憂げに ゆっくりと。 女は身重らしかった。父に気兼ねをしながらも僕は女の腹から…

I was born 投稿を読んで

2022-10-24
舞姫森鴎外 現代語訳(by 岩本幸一)
●元同僚の名訳です。 『舞姫森鴎外 現代語訳(by 岩本幸一) 石炭はもう積み終わったようだ。二等船室のテーブルのあたりはとても静かで、アーク灯の明かりが煌々と輝いているのも、妙にむなしい。今夜は、毎晩ここに集まるトランプ仲間もホテルに泊まって…

舞姫森鴎外 現代語訳(by 岩本幸一)

2022-10-18
「その子二十」の音の美しさ
「その子二十」の模擬授業から取り出しておきたいことを三つ。 ■三つの美しさ ア 音の美しさイ 字面の美しさウ イメージの美しさ Y君のと少し言葉は変えたけれど、三点に整理された「鑑賞のポイント」は、的確だし、記憶しておくべきことだと思います。 ア…

「その子二十」の音の美しさ

2022-10-11
メリー・ゴー・ラウンドその2 視点と語り手
協議で言及してくださったように、 この作品の特徴は、 視点人物(チサ)と語り手の〈ズレ〉にあると思います。 かつ、「あとがき」に書かれていたように、 「いずれも幼い者を主人公にした」作品だという点が特異です。 保育園児は、「語り手」のような語彙…

メリー・ゴー・ラウンドその2 視点と語り手

2022-10-10
メリーゴーラウンド 自発的な教材開発
今回の模擬授業には、教材の開発というテーマがありました。教科書をやる。なぜなら、それは教科書だから。そういう態度を超えていくものがここには潜んでいます。 この自発性は、教育という仕事において、決定的に重要です。 この作品を読ませたい。そこが…

メリーゴーラウンド 自発的な教材開発

2022-10-04
英文和訳 現代語訳
うっすら思っていたことだが、やはり、そうだったのか。予備校の英語の先生。 https://twitter.com/newfield114/status/1576912962681327616?s=46&t=f-RCunYeTzuzJ6nLutfRxw進学校の先生方にご提案なんですが、「英文和訳」を授業や定期テストの中で扱っ…

英文和訳 現代語訳

2022-10-02
図式化ということ
文章を図式化できる力は、 現在、特に必要になってきている力だと思います。 例えば、パワポ。 いまや、文章を図式化するというより、 「パワポ化」→「発表」→最後に、「文章化」 といった過程をよく見ます。 (生徒の研究発表なんかはそうです。 発表に向け…

図式化ということ

2022-09-28
涙の贈り物ー個人的な経験
いくつもの、深い洞察のある投稿があり、 この教材が、 みなさんのどこかを大きく揺さぶったのだな、 と感じます。 授業の作り方もさることながら、 ある力を持った教材を見つけてきて、 教室に提示する、 そのこと自体に価値があるということもあるのだと改…

涙の贈り物ー個人的な経験

2022-09-17
ブッダの「する」論理。
652 行為によって盗賊ともなり、行為によって武士ともなるのである。行為によって司祭者となり、行為によって王ともなる(スッタニパータ) https://twitter.com/buddha_words/status/1570956021266534402?s=46&t=GWEu636sRjvctl33bJejRA

ブッダの「する」論理。

2022-09-11
読書の時間の本質的な必要性
村上春樹の場合。 https://twitter.com/essentialword1/status/1568660105025175552?s=46&t=6qnP6fxBcm2xMvwqzUqmhQ これは僕自身の経験から言うんですが、人生という長丁場で本当に役に立つのは能動的で個人的な情報の集積です。いっぱい本を読んでください…

読書の時間の本質的な必要性

2022-08-04
2022年春学期抜粋
・私たちがなぜ国語の教科書で戦争の話を勉強しているのか理解した気がします。国語を勉強するのは、言葉に触れ、楽しむだけでなく、日本を知り、世界を知り、その中にある多くの大切なことを、教科書を通じて教えてもらうことができる。 ・私は本を読むのが…

2022年春学期抜粋

2022-07-24
源氏物語「夕顔」を読んで
文系 源氏物語「夕顔」を読んで 2022年高校3年生のコメント ●源氏が気味悪く感じながらも強がっている描写や、右近が恐怖でうろたえる描写はあったけれど、怖がりな夕顔が怖がる様子は直接的には描写されていなかったので、余計に終盤で夕顔が息絶えた場面…

#源氏物語 
#夕顔
源氏物語「夕顔」を読んで

2022-07-24
道徳と文学
2022May 4 PM 4:06 倫理・道徳と国語(文学)は違う、とよくいわれます。 そう思います。 しかし、似ています。 それもそう思います。 どこが似ていて、 どこが違うか。 これもまた、問いのまま置いておきます。 深く考えたいことです。 一つだけ。 教室には…

#道徳と文学
#戦争文学
#羅生門
道徳と文学

2022-07-03
詩――崖
「詩」の模擬授業への挑戦、 たいへんありがたかった。 「詩」(韻文)は、ことばの学びの核心にある素材であるにもかかわらず、 現場では避けられる傾向があるからです。 特に高校。 詩の授業、何をしていいかわからない。 そういう声があります。 「受験に…

#石垣りん
詩――崖

2022-06-27
導入の使い方
○質問です 導入→本編のところで、多義図形の実践からすぐに本文に入る班(私たちの班はこちらでした)と、多義図形などのあと、本文の内容を1度ざっくり説明したうえで本文に入る班がありました。 どちらの考えもメリットがあるなと思います。どちらの手法がい…

導入の使い方

2022-06-26
少年の日の思い出
少年の日の思い出 前回の「百科事典少女」の授業が、「一読法」的な展開だったとしたら、今回の「少年の日の思い出」は、「三読法」の初読段階を扱った授業と言えるかもしれません。 「三読法」は、国語の授業で典型的に使われている指導過程です。 「通読・…

少年の日の思い出

2022-06-25
百科事典少女
テキストの一部を空白にしたり、 順序を入れ替えたりして 原形を推定するという方法は、 授業の手法として存在します。 問題はその意図と効果。 それによって、 方法の細部が設定されます。 「百科事典少女」の続きを予想する。 このとき目指されるべきなの…

百科事典少女

2022-06-24
俘虜記にある希望
私は兵士ではなかった。 私は一人だったから。 俘虜記にあるこの認識が、 私たちの「希望」です。 ティムは その瞬間、何かがいっぱいになる。 投げるな、という声。 投げるんだ、という声。 私たちは 集団にいるとき、 常にこの二つの声にまとわりつかれて…

俘虜記にある希望

2022-06-24
私たちはティムであるー学生の感想
以下、学生の感想の一部です。 ---------- 今回授業で扱った「待ち伏せ」と「俘虜記」。その他にも○さんが投稿してくださった「ヒロシマの歌」や「おかあさんの木」など、沢山の戦争文学作品に触れさせていただきました。 後悔や悲しみ。 恐怖や暴力。 殺し…

私たちはティムであるー学生の感想

2022-06-14
深く読むためには、読む私を読むことが必要
深く読むためには、読む私を読むことが必要。 難波さんのおっしゃること、 よくわかる気がします。 私は、それを 水平に頭を使うことー勉強 と 垂直に実践することー深く読む とかつてイメージし、 表現しました。 同じ問題意識なのではないか、 と思ってい…

深く読むためには、読む私を読むことが必要

2022-06-12
俘虜記/待ち伏せ
「俘虜記」の問い、「なぜ撃たなかったか」は、「待ち伏せ」の問い、「なぜ投げたか」と一対を成しています。 なぜ、一方は撃たず、一方は投げてしまったか? 一つの答えは、〈大岡〉はそのとき兵士ではなく、〈ティム〉は兵士だった、というものです。 この…

俘虜記/待ち伏せ

2022-06-03
言葉の現れる場所
人間はおそらく、 日常のほとんどの時間、 考える前に行為しています。 人間は、 自分が思っているより オートマティックな存在でしょう。 オートマティックな行為の一々を 言語的に判断することなく、 また、 言語的に記憶することなく、 こなして生きてい…

言葉の現れる場所

 


2021-01-01から1年間の記事一覧

2021-12-24
ティム・オブライエン待ち伏せ」と大岡昇平「俘虜記」の読み比べ。その3(高校一年生)
■「待ち伏せ」「俘虜記」を読み比べて考えたこと(例3) 提出作文から抜粋・編集して、二作品から得られたことを整理してみたい。引用については、流れに整合性がつくように適宜表現を変えたところがある。 感想から。兵士の内面にふれたことは多くないと思…

ティム・オブライエン待ち伏せ」と大岡昇平「俘虜記」の読み比べ。その3(高校一年生)

2021-12-24
ティム・オブライエン待ち伏せ」と大岡昇平「俘虜記」の読み比べ。その2(高校一年生)
■「待ち伏せ」「俘虜記」を読み比べて考えたこと(例2) ▼いくつかセレクトした。趣旨が通るように、カットしたり、字句を修正したところがある。 ●人を殺す、あるいは殺されるという、究極の極限状態に追い込まれたとき、人はどうにかしてその死から逃れよ…

ティム・オブライエン待ち伏せ」と大岡昇平「俘虜記」の読み比べ。その2(高校一年生)

2021-12-24
ティム・オブライエン待ち伏せ」と大岡昇平「俘虜記」の読み比べ。その1。(高校一年生。)
ティム・オブライエン待ち伏せ」と大岡昇平「俘虜記」の読み比べ。その1。 ■「待ち伏せ」「俘虜記」を読み比べて考えたこと(例1) ▼いくつかセレクトした。趣旨が通るように、カットしたり、字句を修正したところがある。 ●私は「恐怖」とは何かという…

ティム・オブライエン待ち伏せ」と大岡昇平「俘虜記」の読み比べ。その1。(高校一年生。)

2021-12-12
一〇〇%の女の子が僕を僕にしたこと
一〇〇%の女の子が僕を僕にしたこと 高校生が読書会を始めた。高一の男子二人と女子一人、それに若い国語教師がつきあっている。私も図書館の当番をさぼって、少し顔を出した。一階の隅、森を背にした薄暗い資料置き場に下りていく。 彼らが読んでいたのは…

一〇〇%の女の子が僕を僕にしたこと

2021-11-23
案 効く古典
どんなときに、効くか。 古典の一節、ある内容が、 現代人に効くことがある。 どんなときに効くか、 学習者なりに分類し、 コメントする。

案 効く古典

2021-11-14
「論理、論理」の合唱
なぜか、2018年12月3日の対談が今、掲載されている(2021.11.10)。https://www.taishukan.co.jp/kokugo/media/blog/?act=detail&id=39 「論理、論理」の合唱への記録の一つとして。 野矢:でも、だいぶ小学校、中学校は変わってきていると思いますね。高校…

「論理、論理」の合唱

2021-11-13
間の文化 教科書教材を批判する視点
長谷川櫂「間の文化」の模擬授業後の協議は、批判的に読む、ということの実例みたいになってましたね(笑) 誤解なきように書いておきます。間、に注目した長谷川さんの文章、興味深くないというわけではありません。 間、と呼ばれているものの働きは、長谷…

間の文化 教科書教材を批判する視点

2021-11-13
「論理的思考」の社会的構築 渡邉雅子
この本を読んでいますが、国語の立場からも、とても興味深いです。小論文、論理、の問題だけでなく、価値目標、技能目標の問題、それから古典教育の問題も含んでいます。https://synodos.jp/opinion/society/27360/

「論理的思考」の社会的構築 渡邉雅子

2021-11-04
図書館という居場所
図書館サポーターのことが記事の終わりの方に出てきます。 https://www.sankei.com/article/20211013-NIJERTPHZRPYXKCVPL3XMJQXRU/

図書館という居場所

2021-10-25
説明のていねいさ
(2020.10.04)●説明のていねいさ 説明のていねいさと冗長さは別です。ていねいというのは、たくさん言葉を費やすことと同じではありません。教室でのていねいさとは、「生徒が理解したか」にかかっています。 例えば「けり」のおさらいをした。当てた生徒は…

説明のていねいさ

2021-10-25
文法の扱い
(2020.10.04)●文法の扱い 本文を初見で独力で制限時間内に解釈する、という条件の中では、文法知識が自然な感覚として働くように訓練されている必要があります。そのこともあって、これまで文法にかなりの時間が割かれていました。 しかし一方、文法のせい…

文法の扱い

2021-10-25
音読、追従読み
(2020.10.04)●音読、追従読み 「音読、追従読みの際のフレイズが少し長い」というのは、他の人たちの模擬授業でも繰り返し感じていることです。 これからやるみなさんは、まずは、40人の教室の声が一息にそろう長さを意識してみて下さい。初めは、ばらばら…

音読、追従読み

2021-10-25
関連情報から深く読み込む
(2020.10.04) ●関連情報から深く読み込む 「露」と「消ゆ」は縁語、という話がOさんの授業で出ましたね。聞いていて「縁語」って何なんだろう、と思いました。縁語という技法の本質って何なのでしょう?どなたか、解説してくれませんか。 「露」という言葉…

関連情報から深く読み込む

2021-10-25
教科書に書いてある訳を生徒に読ませること
(2020.10.11)※4限で話題になったことへのコメントを転載しておきます。 ●教科書に書いてある訳を生徒に読ませること 書いてあることを音読させるのは、教室全体で共有するという意味があります。 これは音楽の授業に似ています。 音と目、そして、手がそ…

教科書に書いてある訳を生徒に読ませること

2021-10-25
関西大学『教職支援センター年報』
関西大学『教職支援センター年報』への投稿原稿はここから。 桝井の論考は、 2015 2016 2017 2018 2020 2022 にあります。 https://www.kansai-u.ac.jp/kyoshoku/statistics/report.html

関西大学『教職支援センター年報』

 

夢十夜第六夜――文学作品の授業の過程

夢十夜第六夜

いろんな学びを生かして、
念入りに準備された授業でした。

 

⭕️分析ー解釈というライン
この二つの次元を分けるという方法は
他のみなさんも意識しておいてください。
文学作品の授業の過程には、
例えば、こんなものがあります。

◯初読のなんとなくの感想、読後感を出す

◯みんなで分析。テキストの可能性を根拠に基づいて耕していく。

(語り手は?など、今日使われていた西郷竹彦さんたちが提唱するような分析装置も利用できる)

◯分析の共有は、必ずしも一つの解釈に焦点を結ぶものではない。むしろ、自分が思いもしなかった観点を受け止めることによって、初読の印象が覆されていくところに、教室での読みの醍醐味がある。
●教師は多様な気づきが発揮されるように、デザインする。

◯そして解釈。解釈(ここで言っているのは、なんらかの現実に照らして作品の意味や価値を取り出すことだが)の方向には、今日出ていたように、二つあります。一つは、「作者」の現実に立脚するもの。

もう一つは、「読者」が自身の現実から構成するもの。

◯各自の解釈の交換。これも教室ならではの営みです。まあ言わば、作品をネタ(かがみ)にして、今の自分の読み(感性や思考や欲望や……)を言い合うことになります。ここでもまた、そんな見方があるのか!という気づきが、教室ならではの「おもしろさ」を生みます。

これは、作品の生命の、ある意味再生産です。

ーーー

生徒だけでなく、
私たちはふつう、小説というとそのストーリーを読んでいるわけです。
世にはストーリー命の小説もたくさんあり、それはそれで価値があるのですが、
筋書きだけではなく、テキストの表示する深層について、
ああだこうだのやりとりが可能なテキストもあり、
例えば夢十夜などもその一つです。

 

⭕️「運慶が生きているわけ」

この作品の最後の謎は、これですね。
語り手はそれが「わかった」というわけですが、私たちはわかってない(笑)。
突き放されて終わっちゃう。

論理的には、明治の木には仁王は発見されないのですから、「運慶はもはやいない」とあるはずです。少なくとも、運慶みたいに彫ることはできない、
あ~あ。こうなるはずなのに、ならない!

今日はそこまで行きませんでしたが、
みなさん、ぜひ、自分の考えを書いてみてください。

一つの観点を書くと、
これは夢だという約束の上で読まれる作品です。
夢は覚めるから夢です。
夢十夜のどの話にも、書かれていないけれど、
前提されているのは、
これらの話の余白には、
夢から覚めた語り手がいるということです。
「こんな夢を見た」と語っている場所がある。

 

⭕️端末で意見を作っていく

みなさん、いっしょうけんめいに書いていました。どうでしたか。
ますますこのような形の共同作業、共有が増えていくと思われます。
その教室の基本的なスタイルができれば、色んな分野の学びに使うことができますね。

ただし、
課題もあります。
例えば、今日の活動には、
問いを理解し、適切な箇所を読み、自分の発見を持ち、隣と交換し、
適切な言葉で、時間内にタイプする、
といういくつかのステップが含まれていました。

実際の教室ではこの過程のどこかでつまづく生徒がいるでしょう。
こういう過程はもちろん機器のない時代にも、ありましたが、
違うのは、その結果がすぐにオープンになる点です。

このことは、よく自覚しておく必要があります。

 

 

ありのままの世界は見えない――スモールステップ/例を用意する

ありのままの世界は見えない――スモールステップ/例を用意する

 

模擬授業お疲れ様でした!
みんな来てくれてよかったね。

 

今日の鍵は、
⭕️導入(第一時)の扱い方
⭕️事例の扱い方
⭕️教師の役割
といったところでしょうか。

 

教科書のとは違う「だまし絵」を持ってきたのは、おもしろかったです。
生徒の意見を整理するときに、
人によって
「着目する順番が違う」点に触れていたのがいい。
というか、
「まずどこを見るか」が関心のあり方によって異なる、という点を取り出すためにーー本文とつなぐためにやったことですからね。
となると、指示はしていましたが、
「着目した順番」をそれぞれが明確に記録することをもっとはっきり指導してもよかったです。

 

このあたりの指示の仕方と
後の回収の仕方が、
授業のストーリーーーこの授業はどこに向かっているのか、というダイナミズムを生んでいきます。

 

授業中にも言ったように、
事例と主張(考え・説明)の関係を精緻にたどる作業は、どこまで行っても重要です。

 

特に高校に入り、
内容が、彼らにとって身近ではないものになっていきます。
そのとき、例をヒントになんとか、言っていることをこじ開けて、理解していくという手を訓練しておくことは大切になってきます。

 

いろんな生徒が
とりこぼされることなくついてこられるようにするには、
一つには、例示したように、
形式段落一つといった⭕️短い範囲で、
主張の文に印、事例の文に印といった比較的間違いようのない⭕️手を使った作業をさせ、⭕️隣どうしで答えを確認する、といった、
スモールステップの活動を仕組むことが必要です。
特に最初、立ち上がりのところ。
最初を丁寧にいく。

 

みんな、ついてきてる感じ。
さあ、どこへ行くのかな、と期待する感じ。
導入の絵や動画はどう関係するのかな、と問いが湧いている感じ。

 

こういう雰囲気を教室に醸成させるのです。
教科書に印をつけるといった作業も、
後でさまざまに
事例と主張を分析していく作業につながっていくし、
最終的にテキストが、
二つのモードに色分けされているような状態を作り出す、その布石になります。

 

教科書の事例が、
生徒の実感を生むかどうか、
保証はありません。
上の学年の評論文などになると、
書き手の挙げる
例や引用がより文章をわかりにくいものにしているケースもあります。

 

そういう意味で、
⭕️教員が別例をいくつか用意する
のは必須とも言えます。

 

ただし、探してみると、けっこう難しい。
こちらもほんとうによく理解していないと間違った例を挙げてしまうおそれがあります。


例探しは、じつは一人では限界があって、
現場では担当者で情報交換することがよくあります。
みなさんも、友だちのアイデアを聞いてみると、大きなヒントになることがありますよ。

 

例探しのスキルは、
テキストの例がピンとこないときに
別の例を自分で編み出す、という力につながります。
ここで書き手が言うてることって、
あんなことやこんなことのことやんな!
と自分の経験や知識で理解できる例に落とし込むのも理解の方法のひとつです。

 

私たちの知覚・情報処理は、
生得的な次元での規定、
文化的な次元での規定、
によって、それぞれ環境で生きてきくために
機能しています。
人間はインストールされている言語による規定によって世界を分節している、というのが、続く教材、ものとことば、の主題になります。
そして、この教科書では第三教材として、
真実は一つじゃない、という、
メディア論が置かれています。

 

この構成意図は、
セグロカモメやアフリカの村人のように、
あるいはある種の言語で規定された人のように、
もうどうしようもなく、それしか見えない、それが見えない、という状態から、
カメラの位置を意図的に変えることで、
編集のしかたを意図的に操作することで
世界の見え方を操作できる可能性(と危険性)へ考察を伸ばしてみよう、というところにあります。

 

「現代の国語」は結局、情報処理の偏りー世界の分節化の偏りの問題を一貫して扱っているわけですが、
最終単元はそのまとめと発展のために、
人間の世界の捉え方の限界と可能性について考えさせるー書かせるものとなっています。

 

 

塞翁が馬――内容の深め方

塞翁が馬――内容の深め方

模擬授業お疲れ様でした!
内容ど真ん中に迫ろうとする、
とてもおもしろい内容でした。

 

内容はわかりやすく、
下手すると、
何も思考することなく、
理解したつもりになってしまいそうなお話です。
しかし、今日やったように、
深め方はいろいろあります。
ざっくりと生徒に感想を聞いていく方法をどう応用するか、についても、
今日学べたのではないかな。

 

今日、協議のときに見た、
「先が見えるー先を見よ」(占い師の老父)
「先を見ることはできない」(筆者の主張)
という、
本文に含まれている矛盾(に見える内容)への着目、
例えばこういうところに
深く掘り込んでいくための入り口があります。
これは一つ覚えておくとよいと思います。

 

ある種の矛盾、
ある種のいい足りなさ、
そういう箇所への着目です。

 

今日は矛盾を解決する視点として、
ドラえもんの「サイオー馬」が
結びついて、
ナイス!ってなりましたね^_^
https://doranew.net/saioba/

 

おさらいしておくと、
塞翁が馬が批判対象としているのは、
事態を一つの観点、
また短期的な観点から見て
価値判断する態度です。
もっと言うと、
いいと思うことには浮かれ、
ダメだと思うことには、
責任をなすりつけあったり、
過度に悩んだり、
人為によってなんとかしようとしたりする態度。

 

この出典が老荘思想に基づくということも
話題に出ましたね。
無為自然
この世界を動かしている大きな自然の摂理、叡智に従うことの自由さ、安心。
これは、生徒も含め、
自己責任まみれになって喘いでいる現代人に効く考え方ではないでしょうか。

 

古典の知恵は、
私たちに生きてナンボ、です。
そこを授業で扱わなければ、
食べ物を見ただけで食べてないのと一緒です。
身に取り入れて栄養にして、
やっと古典を消化したことになります。
その意味で今日の漢文の扱い方は、
とても重要なことを示唆してくれたと思います。

 

特に漢文に含まれる思想は、
やっぱり、深くて射程が長い。
論語が言ってることなんて、
どれもまったく、今の問題についての批評に聞こえます。

 

高校でやるなら、
現代文の教材と漢文をセットでやるのも
とてもおもしろいと思います。

 

誰かやってみませんか?