国語教育いろいろ

高校、大学の現場での議論のいろいろです

塞翁が馬――内容の深め方

塞翁が馬――内容の深め方

模擬授業お疲れ様でした!
内容ど真ん中に迫ろうとする、
とてもおもしろい内容でした。

 

内容はわかりやすく、
下手すると、
何も思考することなく、
理解したつもりになってしまいそうなお話です。
しかし、今日やったように、
深め方はいろいろあります。
ざっくりと生徒に感想を聞いていく方法をどう応用するか、についても、
今日学べたのではないかな。

 

今日、協議のときに見た、
「先が見えるー先を見よ」(占い師の老父)
「先を見ることはできない」(筆者の主張)
という、
本文に含まれている矛盾(に見える内容)への着目、
例えばこういうところに
深く掘り込んでいくための入り口があります。
これは一つ覚えておくとよいと思います。

 

ある種の矛盾、
ある種のいい足りなさ、
そういう箇所への着目です。

 

今日は矛盾を解決する視点として、
ドラえもんの「サイオー馬」が
結びついて、
ナイス!ってなりましたね^_^
https://doranew.net/saioba/

 

おさらいしておくと、
塞翁が馬が批判対象としているのは、
事態を一つの観点、
また短期的な観点から見て
価値判断する態度です。
もっと言うと、
いいと思うことには浮かれ、
ダメだと思うことには、
責任をなすりつけあったり、
過度に悩んだり、
人為によってなんとかしようとしたりする態度。

 

この出典が老荘思想に基づくということも
話題に出ましたね。
無為自然
この世界を動かしている大きな自然の摂理、叡智に従うことの自由さ、安心。
これは、生徒も含め、
自己責任まみれになって喘いでいる現代人に効く考え方ではないでしょうか。

 

古典の知恵は、
私たちに生きてナンボ、です。
そこを授業で扱わなければ、
食べ物を見ただけで食べてないのと一緒です。
身に取り入れて栄養にして、
やっと古典を消化したことになります。
その意味で今日の漢文の扱い方は、
とても重要なことを示唆してくれたと思います。

 

特に漢文に含まれる思想は、
やっぱり、深くて射程が長い。
論語が言ってることなんて、
どれもまったく、今の問題についての批評に聞こえます。

 

高校でやるなら、
現代文の教材と漢文をセットでやるのも
とてもおもしろいと思います。

 

誰かやってみませんか?