国語教育いろいろ

高校、大学の現場での議論のいろいろです

コインは円形か補足 ――アクティブラーニングのアクティブって?

コインは円形か補足


模擬授業お疲れさまでした!
生徒にじっくり考えさせたい、
という意図はよく理解できます。

活発そうに見えるけれど、
本質的な思考は何もしていない、
という教室はあります。

というか
アクティブラーニングが流行語になったころ、
心配したとおり、
表面的な活動っぽい授業が増えました。

現場では時々、外部の人たちが授業を見学することがあります。
そんなとき、
アクティブラーニングっぽい授業は、
ショータイムとして見学向きなのです。

また、
ICTを使う授業もショー的です。

あるとき
急に
今日見学者が来るんですが、
先生の授業に行っていいですか、
と言われたことがあります。

いいっすよ、
と言いましたが、
その日は、
森鴎外舞姫を読み終わったあと、
各自が考えを綴る時間でした。
その思考が起動するように
私なりのしかけをしたのですが、
いわゆる授業っぽいのは
そのレクの部分だけ。

後は生徒たち、
ものも言わずに書き浸っていました。

途中で案内していた教頭さんが、
(このあとなんかやるんですか?)
と小声で聞いてきました。

(いいえ、書き切るまでこのまま続けます)

見学者のみなさん、
さぞ退屈かと思いましたが、
しかたないよね。

ところが、生徒の様子をじっと見ていたある方が、
授業後、
「子どもたちがあんなに深く集中して書いてるーあれが本当に思考してる姿ですね」
と感想を言われた方がありました。
そのためのしかけの意味も理解されてました。

アクティブとは、
国語の場合、言葉を使う神経が、自分がほんとうに考えたことを表現するために起動し、活動している状態を指します。

今日はそれを目指したのだと思います。
課題は、

⭕️読ませ方も含めた思考に浸らせるための手管の洗練、引き出しの豊かさ
⭕️アウトプットされた言葉の共有、わかった!感を(正しい意味で)評価するしくみ

というところでしょうか。

ーー

今日の授業の
認識ー言葉
という組み立て、
再確認しておきたいですね。

この教材では
これらは、
⭕️コインをどこから見るかーどう見てるか(認識)
⭕️「円形だ」「長方形だ」(言葉)
という形で、
具体性の中で捉えられるようになっています。

認識、を、辞書的定義や哲学的議論の中で扱う必要がない。
本文にある身近な具体例を通して、
まずは捉えればよい。
しかもじつはあらゆることに通じる本質的な話につながっている。

またこれは、
筆者の使う言葉の意味を
本文の中の筆者の言い換えを通じて理解する、
挙げられる例を通じて理解する、
という読解スキルを学んでいることにもなります。

ただ、今日出てきた、
論理的に同格、
という部分は高校生には難しい。

高校生には、というより、
本文での意味を、
本文に探るのが難しい、
というほうがいいかもしれません。

そんなときどうするか。

参考記事を貼っておきます。
https://kokugo2018.hatenablog.com/entry/2023/10/18/201224