国語教育いろいろ

高校、大学の現場での議論のいろいろです

聞く力――話す聞く活動

 「聞く力」の模擬授業お疲れ様でした!

話す聞く力というのは、最も日常的であり、
社会的であり、ほとんど人格にも関わるような本質的な言葉の力なのに、
その効果的なレッスンが、
学校でじゅうぶんになされているとは言いがたいです。

今日の授業をきっかけに
他の皆さんも話す聞くの授業構想を考えてみてください。
ぜひ、機会があれば実践してほしいと思います。

話す聞く自体は
例えば小説の解釈をめぐって話し合うといった場面で授業に組み込まれています。
しかし、そのときに、例えば今日やったような、相手の内面を推測して引き出したり、
自分はとても思いつかなかった解釈のその由来を聞き出したり、といった形で
聞く話すでの学びを応用できているかというと、そうではないですよね。

でも、
「彼はどうしてこんな解釈を取り出したのだろう?」という問いかけが意識的になされることは、
テキストの読みの根拠となる部分にも触れる深い学びに接続します。

「聞く力」「さら問い」する力、
自分を相手にぶつけながら聞き出していく力、
こういう、
現在手薄になっていると思われる力を使ってみるレッスンはとても大事だと思われます。

⭕️導入ー聞く、についての自分なりのふりかえり。

人の話をちゃんと聞けてると思う?
誰の話もちゃんと聞けてる?
ちゃんと聞いてもらえてる?
真剣に聞いてほしい話をきちんと受け止めてくれる人いる?
家族はきちんと聞いてくれてる?
家族を話をきちんと聞いている?
思わずいろんな話をしてしまうような聞かれ方をした経験はある?

‥‥こんなふうに、何か、「聞く」ことについての実感を思い出させておくことが、
今日の授業のめあて、活動にダイレクトにつながっていくでしょう。

動画を見せるついでに、
人の話を全然まともに受け止めていない動画を見せてもいい。
国会や記者会見あたりにあふれるほど例があるでしょう。


⭕️動画の見せ方ー観点を意識させて

動画、画像、図式というのは、
ただ見せるだけでは、
それぞれが勝手な興味に従って見てしまいます。
今日の動画で言うなら、長澤まさみのファンなら、その表情ばっかり見てるとか。
何を見る(聞く)のか、の観点を提示する必要があります。

動画の前に、自分が長澤まさみにインタビューするなら、第一声はどうするか、ちょっと言わせてみてもいい。
インタビューする側の様子に注目するのだという観点を意識することになります。
ここをいいかげんにすると、
初手からつまずく生徒を生むことになります。

もっとも、最初の動画は導入なので、
「正解」を求めるような限定はかえって効果を失わせます。

今日共有できたように、いろんな角度から、
いろんな言葉で気づきを出してもらうことをめざします。
授業者が気づかなかったような点も挙がってきたらおもしろいですね。

 

⭕️テキストの読ませ方

女将とインタビュアーはどこが同じか。
問いをそう出すだけで
あとは生徒に任せるだけで答えは
妥当なところに落ち着くでしょう。

書いてありますからね。

考えて書いてください、
と指示をしていましたが、
ここは正確にいいたいです。

考える、というと、テキストを離れて自分なりに考えることに聞こえます。
この段階の作業は、
テキストの中に答えを探し、見つけることでした。必要があれば、それらをまとめる。

答えを探し、線を引き、共有し、
簡潔にまとめて、タイプして投稿しなさい。

例えばこのように、
活動を具体的に的確に表現することを心がけてください。

 

⭕️インタビュー実習

これが今回のヤマでした。
ここへ持っていくための展開として
全体をデザインすべきでした。

じゅうぶん時間内でできたと思います。

ここで、
阿川さんから学んだことを
しっかり応用させるにはどうしたらいいか。
それを考えておく必要があります。

「相手のようすから相手の内面にふれる」
というきっかけづくりをどうやるか?

生徒に任せても、
うまい子はどんどんやるでしょうが、
むしろ学ぶべきは、
こういう経験に無自覚だった生徒たちです。

例えば、あいての様子を観察して、
言葉がけするレッスンだけを取り出して、
まずやってみる。

にこにこしてるね。
髪くくってるね。
指けがしたの。
めっちゃ日焼けしたね。

こういうステップを踏んで、
言葉が流れ出すきっかけを作る。
流れ出せば自由にやらせる。
そんな工夫が実際の教室には必要です。

 

ちょいとしんどい教室こそ、
今日のような、
将来の夢は?
といったインタビュー実習は効くと思います。

国語教室は、
人間関係を作っていく場面でもあります。