国語教育いろいろ

高校、大学の現場での議論のいろいろです

土5限のような場が成立する条件は何なんだろう?

土5限(国語科教育法)のような場が成立する条件は何なんだろう?

そう思い、レポートを読み直し、

その観点を中心に抜粋し、整理してみました。

参加者が気づきを得、全体の中で進化していくためには何が必要なのか。

みなさんも考えてみて下さい。

 

(視点の多様性)教材に対して愛情を抱けるようになるためには、深い教材研究はもちろん、教材を見る視点を多く持っていることが必要であると考える。この授業では国文学系の学生が多い。彼らの授業や発言を聞いていると、自分とは違う視点から教材を見ているのだなと感じることが多くあった。今後も、多くの人の授業を受けて自分の教材に対する視点を増やしていきたい。

 

(自分の弱点への気づきと分析)文章力が自分に足りていないと感じた。クラスティングの投稿を見ていて自分の文章力のなさを痛感した。クラスティングの投稿を読むことを通して、よい文章とは何かについてなんとなくわかってきた。よい文章の特徴の1つ目として、書かれている内容が脳内でイメージできる文章ということが挙げられると思う。クラスティングに書かれている内容は、教材に関する専門的なことや自分は経験したことのない、教育の現場に立ったことがある人の視点から書かれた意見などが多い。難しい内容ではあったが、書かれている内容が脳内でイメージしやすいと感じることが多くあった。私も難しい内容を読者のことを考えてわかりやすくかみ砕いて表現できる文章力を身に着けたい。

 

(多様性の受け止め)国文だけでなく多様な専攻からの参加されているようで、出される意見もそれぞれに個性を感じました。なるほど、そういう疑問をもつのか、その発想面白い、と感じることが幾たびもありました。大変勉強になっています。

 

(新鮮さと明確さ)皆さんの様々な指摘や意見が飛び交い、そのほとんどが素晴らしいものでした。自分には到底考えられないような考えが多く、とても新鮮に感じた授業でした。模擬授業では、どういったことを生徒に身に着けてもらいたいか、なにについて考えてほしいかを皆さん明確にしており、実際に模擬授業を受けた身からすると、とても充実した授業だなと思うことが多かったです。いつの間にか、一年が過ぎ去り、早いものでしたが、この授業を受けたお陰で、様々な気づきを得られました。

 

(意義を見出す)ある題材を扱うときにその教材を用いて自分は生徒にどのような力をつけさせたくて選んだのか、どんなことを考えさせたくて取り上げたのかは必ず明確にさせなければならない。国語科は他の教科と違って教科書に記載されている全ての教材を扱うわけではないので、選択することができる。そしてそこには必ず意志が介在する。扱う教材が通例で決まっていたとしても意義は見出さなければいけない。生徒らにとっては一回きりしかない授業であるからだ。そのための教材研究や自分の言語感性を磨くことの重要性を学ぶことができた。

 

(情熱の共有)他の受講生の模擬授業を受けて、自分にはなかった発想や手法を学ぶことができたことがとても良かった。また、何より、この5限の受講生の方は、やる気と、教育に対する情熱に満ち溢れていて、教職に臨む気持ちの面でも刺激を受けることができるいい機会となった。

 

(残った芽を伸ばす意欲)私にとって授業というものの考え方が大きく変わるまたとない機会でした。思い返せば教材研究もろくにしたことのない段階から、どのように教材と触れ合っていくのか一から学びました。これをもう一年経験できたり、既に一年間経験していたりすることができる人がいることをとてもうらやましく思うほど、自分はまだまだ改善点や教材研究に必要な知見に乏しいと思います。しかしいろいろな方の授業を毎週見られる経験というのはそう簡単にできることでもなく毎回の授業で新たな発見があり、とても楽しくそこで学んだことというのは確実に自分の中に残っていると思います。そうして培ったものを使いこなせるようになるためにも教育実習であったり模擬授業であったりで、経験を積むことが何より大切だと思いました。

 

(共に学び自分が進化する魅力)まさか、年間を通じて土曜の5限を受講するなんて思いもしませんでしたが、ぜひ来年も!!と思うぐらい、みなさんと濃くてあたたかい、充実した時間を共有できて幸せでした。…このような深く考える授業は初めてで、新鮮でした。…私にとっては中学校、特に高校の授業は難解で、手のつけ所がわからないという印象で苦手でした。ですが、文学的にも深く考えることのできる年齢の生徒たちと共に学ぶということに魅力を感じることができました。

 

(安心できる空気を作ること)最後の授業で、「教室の空気が作られていった」ということを先生がおっしゃっていました。「空気を読む」ことばかりしてきた私にとって、「空気を作る」という言葉はとても新鮮でした。学校から与えられた空気に染まり、自分もその空気を吸って上手に生きていくことはとても苦しかったことを思い出しました。高校時代、「勉強ができない」私は、自分の言葉や意見を発表したことはほとんどなかったと思います。けれど、この授業は違いました。「待ち伏せ」(教材名)から始まった、「誰も馬鹿にせず、話を聞いてくれる空気」。それが、この授業で私が一番に感じたものです。ここでの「空気」はとても安心できて、自分の気持ちや考えが、すうっと言葉になりました。それはみんな同じだったのではないかと思います。「勉強ができない」自分を忘れられる時間でした。この授業に出会えて私はとても嬉しかったです。

 

(視点の転換)回を追うごとに皆の感性がするどくなっていき、何やっても、「こうしたらいいよ!」、「ここはなんでそうしたの?」といった意見や疑問が際限なく出るのが、興味深かったです。授業をするだけでなく、授業を受ける中で感性が磨かれていく背景には、授業者の視点、教師の視点で皆さんが授業を見られるようになったことがあるのかなと。私も少しはそのようになれていればよいなと思います。

 

(教材研究の意味)最終回において、私はたいへん衝撃を受けた。指導案と教材を一目見たときに「こんなに短い詩で本当に50分も授業ができるのか?」と感じたことではない。実際のところは生徒が活発に意見を出して交流を行い、みるみるうちに時間は過ぎていった。「なるほど。これが国語の授業におけるアクティブ・ラーニングか」と深く納得し、自分の浅はかさに衝撃を受けたわけである。『教材研究』がなんたるか、を最終回にして改めて思い知った。文章が長さなどは関係なく、その教材から読み取ることができる内容を教員自身が可能な限り知っていること、そんなことは私以外全員が理解していたのかもしれないのだが、この1年間の国語科教育法を通して、最後の最後で理解したのだ。…文章を面白いと思う気持ちを心に留め、その面白さを他者に向けて言語化できる人でありたい。…ふと見つけた「文章」というものに意識的に目を向ける作業から、国語教員を目指す自分が生まれ変わっていくようにしたい。

 

(授業も続く議論)秋学期も春学期に引き続き、毎時間学びが多く濃い時間を過ごすことができました。皆さんの模擬授業や毎時間の協議、授業後も続く議論、クラスティングの投稿は、鋭い指摘や別視点からの発想で溢れていて刺激を受けっぱなしでした。(私の主戦場は相変わらずクラスティングでしたが)授業をすることの難しさだけでなく、楽しさも知りました。教室で教材に向き合い、問いをぶつけたり、問いにぶつかったりしながら、謎が解けたり、つながりを見つけたり、また疑問が出てきたり、そんなことを繰り返しながら読みが深まっていく、そんな皆さんの模擬授業とても楽しかったです。将来教室で5限のわくわく感を再現したいと強く思います。

 

(高め合える感覚・教材研究)大学の授業でこの授業のような高め合える感覚を持てているのはゼミくらいなので本当に貴重な経験になったと自信を持って言えますし、成長している感覚もあり、自信をつけられた授業でした。模擬授業はすごく緊張していましたが、これまで自分のやってきたことや教材研究や授業づくりに自信を持てたので落ち着いて授業を行うことができました。教材研究の楽しさと奥深さを知れたのは昨年の土曜4限があったからです。自分が模擬授業を行うことでのスキルアップはもちろんですが、他の学生の模擬授業からも沢山のことを学べたし、意見交換の時間でも学ぶことは多かったです。周りの学生に恵まれ本当に良い時間を過ごせました。

 

(批判の受け止め)一生懸命つくった授業への批判を聞いたときは、ショックでしたが、同じ教員志望だからこその指摘など、真摯に受け止めなければならないなと感じたと同時に、人の授業の悪いポイントだけでなく、いいポイントを見つけることも大事だなと改めて実感しました。欲を言えば、学生からの意見が多かったので、先生の意見ももっと聞く時間が取れればよかったなと感じました。学生の意欲がとても高いので、お聞きする時間が短くなってしまったのが少し残念でした。しかし、かなり密度の高い学びが得られたなと感じています。

 

(今後も続く交流)受講生と話す度に、校種をまたいでの教員の交流は大事なのではないかと思わされました。教員になってから校種をまたいだ人脈をつくったりすること、学習会に参加すること、他校種を他人事だと思わない姿勢は重要であると思います。受講生との出会いはそういった意味でも、とても貴重なものでした。親しくなった今、友人として今後も交流したいと思う気持ちと、様々な校種・自治体・各私立学校にわかれていく皆のことを、教員仲間として大切にしたいと思います。

 

(国語教室を作る)学級開きの重要性も学びました。そして、教科の授業のなかで学級をつくっていくことの可能性も実感しました。もっといえば、国語の授業だからできる学級づくりがあると思いました。この経験を、感覚を、よく覚えておきたいと思います。

 

(軸となる学び・広がる学び)こんなにも意欲的に取り組んだ授業は他にありません。いつもこの授業が軸にあって、他の学びに繋がっていったように思います。環境に引き上げられて学びがどんどん深まっていきました。これからは、自分の力でこのような環境を整えられるように、「あの授業を受けていた時はよかったな。頑張っていたな。」と、そんな情けない振り返りをする日がこないように、頑張りたいと思います。働き始めるととても忙しいと思います。でも、もっともっと面白くなると思います。今のモチベーションを保ち、自らどんどん学び続け、次は目の前の生徒がこんな充実した学びをできるように、努める番であると思います。

 

(よりよく生きること)授業後の協議でも何を重視するかで方向性の違う意見がぶつかることもあれば、教室全体が一致してより良い授業を模索する経験は教員採用試験の更に向こうである教壇に立つ際に活きる力だと感じた。春学期の教材研究を含め、教師としてだけではなく、よりよく生きることにもつながる教室であった。

 

(遠方より朋の集ふを求む)毎週志を同じくする仲間から多量のエネルギーを受け取ることで、そのモチベーションを維持・向上することができた。このような環境、教室をつくる先生の手腕には4月の段階から感嘆し、こんな教室を作ることが一つの理想だと感じている。この授業のように、自分たちの授業を協議・批判しあい高めていくことは今後ないのだろうか、と思う。自分は浪人したため同級生はすでに教壇に立っている者もいる。この授業で一緒だった3回生たちは、次年度4回生になり、進学する自分より先に教壇に立つ。4回生になると、もう模擬授業の機会などない。ましてや協議・話し合う機会など猶更である。就職した同級生は業務に忙殺されている。教師の卵が自分を磨けるの時間は少ないのだろうか。できることなら、ここで出会った人たちとはこの先も関わりを続けていきたいと思う。

 

(もう一度)端的に、学ぶべきところが多かったと思う。他人の授業を見て、それに対しての意見を聞いて、それぞれ得るものがあった。話し方や板書の形態、特に複数の授業案を見ることができたのがよかった点だ。それに、秋の授業ということで、発表者のレベルも高くなっていたと感じる。模擬授業にもう一度挑戦してみたいほどだ。

 

(自分からの出発・人と作品に向き合うこと)初心忘るべからずで、初めて作品と向き合う時の感情や考えを基礎として、自分の意見にこだわり過ぎず、双方向のコミュニケーションを大切にして、教室全体で一つの作品と、作品に生きる命と向き合っていきたいと感じる。全ては経験と、その後の振り返りと、また実践…の繰り返しなのかな、と。そして教師や生徒、作品など、人と関わることで、新たなアイデアや思考の幅が生まれていくのだとも感じる。人と自分と向き合い、学び続ける姿勢を忘れず、今後の勉強や実習に励みたい。

 

(魅力への気づき)他の学生の古典に対する考え、思いは熱く伝わってきて、自分では気付くことができなかった古典の魅力に気付くことができた。現代の問題に通ずる部分、趣など古典特有のよさに気付いた。教育実習に行くのは五月末でもう少しの期間しかない。それまでに自分の中で改めて古典について背景などの知識を付けると同時に、考えをまとめ、自分のような魅力に気付くことができず、古典に文法的な部分のみ触れている現役の高校生に魅力を伝えられるような実習にしたいと思った秋学期であった。

 

(残る議論の跡と問い)模擬授業が終わった後、各授業者がどうして今回の教材を選び、どうして今回のような内容にしたのかを聞くのが興味深くて、毎回楽しみにしていた。…クラスティングに投稿しない週も多く不真面目な生徒だった。しかし、一人一人の個性あふれた模擬授業や、様々な観点からの意見が出た協議に参加していた感触は今でも残っている。また、配布された資料や、クラスティングの投稿が手元に残されているので、ときどき思い出したり目を通したりして、今後の参考にさせて頂くとともに、それぞれの授業で出された〈問い〉に対する自分なりの答えを見つけたい。

 

(年度を超えて)昨年度に引き続いて受講したが、自分では思いつかなかったような授業案が出ることが多くあり、自分が教壇に立った際に参考にしたいと思えるものであった。…古典という親しみを感じさせることに大きな課題がある分野を楽しみながら受けられるような工夫が見られる授業、情報メディアが変革を迎える中で従来の様なメディア教育ではカバーしきれない部分についてどのように授業を行っていくのかという点について非常に参考になる授業。これらが特に印象に残っている。