国語教育いろいろ

高校、大学の現場での議論のいろいろです

枕ー大納言参りたまひて 語り口、誰がいるか

みなさんの意見のなかから

共有しておきたいことを覚えとして書いておきますね。

 

⭕️語り口

 

模擬授業担当者のあの語り口、持っている雰囲気は、財産です。誰もがそれぞれの個性を潜在させていますが、自分では気づかないときもあります。公開授業で指摘してもらったり、生徒の感想を聞いて気づくときもあります。自分が心地よく、心にゆとりが出て、頭も回る語り方というものがあるでしょう。その資質を基に、反応をモニターしながら、磨いてゆくとよいと思います。緩急、音量の大小、方言、間(ま)、寸劇風、マジな声とまなざし、微笑み、(先生ぽくない)素の声、反復、特定の生徒を相手に会話、朗読、ものがたり、切れ味よい指示、ダラダラしない説明、しぐさ、資料を掲げながらの説明ーーー授業の語りの多様性をこの後の模擬授業でも担当者、生徒役、ともに意識してみましょう。生徒の表情、視線がどうすればいいのかを教えてくれます。

 

⭕️そこに誰がいるかー古典の人物像

 

古典の最難関は、人物ではないでしょうか。呼び名も聞き慣れないし、性別も年齢もピンと来ないことがあります。知識がなければ、清少納言と大納言はどっも納言だからーなんてことになる。今回の人物を取り出すという試みはよかったです。

ただし、これは生徒にとってはたいへん難しいことです。まだお話がわかってないのですから。まずは、記号として、どうもこれは人名だ、ということをおさえる程度で止める。それがだんだん、性別、年齢、身分、キャラ、服装、表情、心情へと解像度が上がっていくという読みの過程をデザインするとよいと思います。?を作って、解決していくうちに、くっきりしてくるという。

語りの清少納言がそこにいる問題は、枕をやるときの前提になりますが、ここは生徒は気づかなかったりして、おもしろく、おいしいところなので、本文の読解の中で清少納言の像を思い浮かべないとわけがわからなくなるポイントで発見させてもいいかもしれません。

全員揃ったところで、それぞれの経歴を検索すれば、このファミリーの関係や年齢もわかってきます。全体としてこの節が、何を描きたかったのかも、見えてきます。

 

⭕️敬語、文法問題

 

敬語については、「敬語は語り手の対象への意識の表れ」(客観的な上下の問題ではない)という本質をしっかり捉えておくこと。スキルとしては、尊敬は「誰が」、謙譲は「誰に、誰を」という情報を教えてくれるもの。もうこれだけでいいです(御は「誰の」)。

文法事項は精選すべし、という意見、賛成です。この作業は、今後の課題の中心になると思います。学びかたとして、現代語に溶け込んでいる文語から、という手も有効です。「精選すべし」って文語ですね。でも、意味わかるでしょう? 既知の知識と地続きで、読み解きにギリギリ必要な文法事項を学ぶーこういうシステムを考える必要があります。

そういうの、どこかにあるんですか? 

いいえ、みなさんが考えるんですよ。