国語教育いろいろ

高校、大学の現場での議論のいろいろです

序論 本論 結論? 書くための型

NHK国語表現を参考に
序論本論結論とは何か
をまとめると下のようになります。
https://www.nhk.or.jp/kokokoza/kokuhyou/contents/resume/resume_0000003564.html?lib=on

⭕️序論は、問題を提起した上で、結論を予告する。
⭕️本論は、序論で述べた問題提起に対する根拠や反論などをあげて、まとめていく。
⭕️結論は、自分の立場や主張を明確に示して、論を締めくくる。

噛み砕くと、

⭕️序論ー問題はこれ。答えはこういう感じかな。
⭕️本論ーなんでかっていうとね、こんな事実やあんな事実があるし、ああ考えると、こういう矛盾が出るから、こう考えるしかないわけさ。
⭕️結論ーだから、問題への答えはこれ。こうすべきなんだよ。

こんなふうに始まり、こんなふうに展開し、こんなふうに終わる、という章立ての型です。このまま目次になりますね。
序論本論結論の順番が入れ替わることはあり得ません。

こう書いてもらうとたしかにわかりやすい。
ところが一転、書く側から考えると、
私たちは必ずしもこの順番に思考するわけではありません。ごちゃごちゃしながら、行ったり来たり。
最終的に整えるときの型の一つが、この三段構成です。
実験系のサイエンスにも決まった記述の型がありますが、実際の研究がその型通り進むわけはないですよね。

書けない人に
どうやって書く内容を見出させ、
書き方を教えたらいいのか?

論という以上、
どんなものでも必ずあるのが、
「問い」です。
それは経験や実験結果や困った問題や
何らかのテキストや
そういう現実の前に立ち止まった時に
浮かんできます。

そこから探究が始まり、
行きつ戻りつしつつ、
なんとか見い出していくのが、
現時点での「答え」です。
それは「主張」になるときもある。
場合によっては、
「課題の提示」というのが、とりあえずの「答え」ということもありますね。
ここまでしかわからんかったー。

国語の実践として、
書く経験をさせたいとき、
言葉をよりダイナミックに取り出しやすいのは、
問い→答えのラインで書こう、
という言葉で指示することです。
もちろんそこには「根拠」が必要になってきます。
この方が思考が起動しやすいのです。

教室では論ではないものも読んだり書いたりします。

例えば、猫が好き、ということは
論ではない書き方で書かれることが多いかもしれません。
⭕️猫にまつわる経験、できごとなどを「描く」。
⭕️感じたこと、考えたことを「描く」。
作文、エッセイのスタイルですね。
ここでは猫の魅力を「描く」力を磨くことが伝わる力を増すことになります。

しかし、同じ経験を論の形で書くこともできます。
どうしたらいいか。
問い→答え、の形にすればいいわけです。
なぜ好きか、どこが好きか。
何々だから。

ただし、
その題材や言いたいことに論の形がふさわしいかどうかは別問題です。
魅力を伝えたい場合と
例えば、捨て猫をしないでと主張したい場合では違います。
ーーー
「描く」ときにも
「論じる」ときにも二つのモードがあります。
⭕️事実

⭕️考え
です。

こんな事実がある、これについてこう思う、どうすればいいか?
ーー例えば、「問い」を書くときもこんなふうに事実と考えがセットになります。

⭕️問い→答え
⭕️事実/考え

書くためのキーは、ギリギリに煮詰めるなら
この二つの項目になります。
これらは教科書を「読む」ときにも有効です。
仮説検証型のテキストを読みましたが、
「何々か?(問い/考え)→事実はこうだ。(事実)→よって仮説は否定(答え/考え)」
といった形で進んでいました。
こういうブロックがいくつも組み合わさって
「論」ができていることを自覚して読むことが、書く、にもつながります。

仮説検証的なあの書き方は、
一つのレトリックです。
書き手は答えを知ってるのだから、
クジラはこうやって水分を得ている、
といきなり書いてもいいわけですが、
それでは、読み手を惹きつけられませんね。
だからちょっとミステリー風?なスタイルをとっているのです。
情報を示すときに
わざわざクイズ形式にすることがありますね。
3択とか。
あれもレトリックです。
これらも結局、
読み手に「問い」を抱くように促しているわけです。

論の型は一つのレトリックだ、
という観点もどこかで学びたいことです。