国語教育いろいろ

高校、大学の現場での議論のいろいろです

2023-01-01から1年間の記事一覧

セミロングホームルーム テキストの読ませ方

模擬授業お疲れ様でした! おもしろい教材でしたね。 やりたいこともはっきりしていたし、 そのための準備も入念でした。 話題になった 「どう読ませるか」問題。 整理しておきます。 ⭕️一読/再読 ⭕️黙読/音読 ⭕️全読/部分読み 実際には、 これらの組み合…

枕草子 春はあけぼの 中学古典

古典への興味をどうやって喚起しようか、 という観点から構想された単元案だったと思います。 協議での意見も参考にし、 現場の実態も捉えながら、 進化させていくことができるだろうと思います。 ⭕️五十音図 ○先生が言われた五十音図。 高校の導入では必ず…

「小さな手袋」(内海隆一郎)中学二年

模擬授業、お疲れ様でした! 色んなツールを駆使した授業でしたね。 小説を読むことに役立つツール、スキルを学ぶ という意図もはっきりしていました。 それはどんなものなのでしょう。 今日出ていた観点をもう一度確認して、 そういうスキルを あの教材、ま…

枕ー大納言参りたまひて 語り口、誰がいるか

みなさんの意見のなかから 共有しておきたいことを覚えとして書いておきますね。 ⭕️語り口 模擬授業担当者のあの語り口、持っている雰囲気は、財産です。誰もがそれぞれの個性を潜在させていますが、自分では気づかないときもあります。公開授業で指摘しても…

古典の準備 「方丈記模擬授業」補足とまとめ 2017.5

「方丈記模擬授業」補足とまとめ ○指導者は、・完全な品詞分解と正確な現代語訳に加え、・話の本質を捉え、生徒に伝わる(現代的な・日常的な・場合によっては若者言葉的な)表現も考えておく。・書き手の動機、書き手の置かれた(描かれた話題の)歴史社会…

ありのままの世界は見えない

模擬授業お疲れ様でした!みんな来てくれてよかったね。 今日の鍵は、⭕️導入(第一時)の扱い方⭕️事例の扱い方⭕️教師の役割といったところでしょうか。 教科書のとは違う「だまし絵」を持ってきたのは、おもしろかったです。生徒の意見を整理するときに、人…

象は鼻が長い

昨日、協議で言及があった『象は鼻が長い』について少し補足します。これは三上章という人の本のタイトルであり、そこで取り上げられた有名な例文です。 昨日の授業の手順どおりやるなら、⭕️文末にある「長い」に述語の印を入れる⭕️何が長い?、何は長い?と…

言語文化としての「夢十夜」

先日の模擬授業などを通して、思いついたことを書いておきます。 第一夜には「夢」「男と女」「生死」「時間」といったモチーフが出てきます。 そう思ってながめると、これは古典とつないで考える単元が構想できるのではないか、と思ったのです。「夢」つな…

万博についての討論の授業

(2018.12)*5年前に万博について討論する模擬授業が行われていたことを発見。大学生おそるべし。ーーーー実際の教室でやってみたいと思うアイデアでした。高校生にやらせるなら、●万博を意義あるものにするための課題は何か?という問いかけにしようと思い…

伊勢芥川ー思いを遂げた瞬間、失うということ

(2017.4)【伊勢物語芥川の模擬授業後】今日の伊勢の芥川について、あの話は、「想う人と思いを遂げたと思った瞬間にそれを失う」という、一つの話型なのだと気づきました。帰りの電車で。 あそこで永遠に失われたのは、「あれはなあに?」(不安)「あれは…

夢十夜第一夜の模擬授業

生まれて初めての模擬授業お疲れ様でした! 文学に挑んでくれて、 みんなの学びにもなったと思います。 小説はやっぱり生徒の記憶にー心に残ります。 「論」とは違って、 具体的な色形のある世界を味わうからでしょうね。 だからこそ、そして、教室でわざわ…

「ちくま評論入門」「ちくま評論選」 の解説

進学校でよく使われている「ちくま評論入門」「ちくま評論選」の解説へのリンクを貼っておきます。私が書いたものです。生徒は、試験前、これを手元に置いて準備してたなあ。高校の教科書や入試問題で読んでいたような評論をもう一度、しっかり読んでみたい…

まわしよみ新聞実践記事

まわしよみ新聞の実践記事。 朝日新聞https://www.asahi.com/articles/ASL6P0D6RL6NPTIL05S.html 三省堂https://tb.sanseido-publ.co.jp/kokugo/Info/magazines/h-kokugo/pdf/pr_16_sum/2016_sp03.pdf むつさん読売教育賞2017 https://kyoiku.yomiuri.co.jp/…

序論 本論 結論? 書くための型

NHK国語表現を参考に序論本論結論とは何かをまとめると下のようになります。https://www.nhk.or.jp/kokokoza/kokuhyou/contents/resume/resume_0000003564.html?lib=on ⭕️序論は、問題を提起した上で、結論を予告する。⭕️本論は、序論で述べた問題提起に対す…

文章は上手くなるのか

(学生さんからのある質問)一部略私がとある大学の先生たちと話している時に「学生の文章力が著しく低い。論文指導するのも辛い」と言われました。そういえば、先週の模擬授業で今時の学生は本も新聞も読まないということを同じグループになった人たちに教…

コインは円形かー授業の後にー論理的、同格

お疲れ様でした。 難題に挑む心意気やよし。 自分が読んでわからないところは、授業のキモです。 生徒もわからない。 しかしそこを突破すれば、 雲の中を突き抜けるように全体が見えてくる。 そういう箇所があるのです。 それを見つけるのも、 教師の力量。 …

根源的な自発性を自発的に涵養する : 国語科教育法という場(関西大学教職支援センター年報 2022)

根源的な自発性を自発的に涵養する : 国語科教育法という場https://kansai-u.repo.nii.ac.jp/record/2000092/files/KU-1200-20230720-05.pdf ⭕️または以下の2022 https://www.kansai-u.ac.jp/kyoshoku/statistics/report.html kansai-u.repo.nii.ac.jp

夢十夜 一夜、六夜、そして七夜を通して。

一夜、六夜、そして七夜を通して。 自分という一人の話者が見た夢という立場から見てみたい。 彼の心の中のある状態がこれらの夢として形作られているとすると、 そこにはある感触が共通していると思われる。 それは、 不安や迷いの沸き立ちと、それに対抗し…

水の東西 鹿おどしのコーンという音

客観的な対比として読んでしまうと 違和感があふれる。 しかし現場では評論の対比スキルのための教材としての需要がある。 ーーいつも、教科書に採るか否かの議論が紛糾します。 飯間さんの日本の東西の分け方についての文章は、 水の東西の分け方に対するダ…

夢十夜 第一夜 「そら、そこに、写ってるじゃありませんか」問題

●出た意見例メモ 2023/4/22分 夢十夜第一夜 ・夢だとはじめに言ってしまうわけは?・女と自分の関係は?・自分はこれを夢だと自覚しているのか?・女という呼び方から、知らない人なのでは?・死にそうに見えない→死ぬな、の変化はなぜ?・女は「自分」に向…

コインは円形か、のポイント

・コインは円形か、のポイントは、表現のしかたによって見方が変わる、ということです。 ⭕️本来のレトリックとは、私たちの認識と言語表現の避けがたい一面性を自覚し、それゆえに、もっと別の視点に立てばもっと別の展望がありうるのではないか……と探求する…

「コインは円形か」補足

「コインは長方形だ」への違和感があんなにあるとは思いませんでした。 「コインには視角によっては長方形にも見えるよね」に同意してもらうことが、議論の出発点になってるのですが、そこでつまずく 可能性があるということがわかりました。 導入の事例とし…

原発にあらがい続けて〜早川篤雄「福島からの伝言」

原発にあらがい続けて〜早川篤雄「福島からの伝言」〜見てほしい番組です。 僧侶であり、国語教師であった早川篤雄さんの人生が、 ご本人の語りとともに紹介されます。 番組内で ともに 福島原発の建設の反対運動を展開していた やはり国語教師の 吉田信さん…

脱ディベート

ディベートは世界を失わせる。 https://twitter.com/yamagiwa_j_bot/status/1631554830295547907?s=46&t=iTj_QLLZ8YVLe-Ez3AFdVw

土5限のような場が成立する条件は何なんだろう?

土5限(国語科教育法)のような場が成立する条件は何なんだろう? そう思い、レポートを読み直し、 その観点を中心に抜粋し、整理してみました。 参加者が気づきを得、全体の中で進化していくためには何が必要なのか。 みなさんも考えてみて下さい。 (視点…

古典観の転換と拡充

「古典」と聞いて思い浮かべる国学的な古典のイメージから、確かな思考の土壌としての古典への古典観の転換が必要だとずっと感じている。 「大学生にオススメな本のリスト」をアメリカの有名大学が公開、大学生は一体どんな本を読むべきなのか?https://giga…