国語教育いろいろ

高校、大学の現場での議論のいろいろです

「その子二十」の音の美しさ

「その子二十」の模擬授業から取り出しておきたいことを三つ。

■三つの美しさ

ア 音の美しさ
イ 字面の美しさ
ウ イメージの美しさ

Y君のと少し言葉は変えたけれど、
三点に整理された「鑑賞のポイント」は、
的確だし、記憶しておくべきことだと思います。

アエイオウと母音を並べ、
「ア」音は広がった明るい印象、
「ウ」に至るほど絞りが効いて暗度が増す、
というのは、一般的にいえるものです。

歌人俳人、詩人、それから作詞家は、
子音も含めた音の印象について、
最初ほぼ直観的に、
練り直すときは意識的に操作しています。

sonokohatachi
kushininagaruru
kurokamino ogorinoharuno
utsukushikikana

母音だけ取り出すと、

oooaai
uiiaauu
uoaio ooioauo
uuuiiaa

後半の速射砲のような「オ」音の連続は目立ちますが、
(「オオオオオオ」)
さらに最後の句を見ると、
「ウ」音でぎりぎりまで引き絞って、
「アア」と爆発するように解き放つ感じがよくわかりますね。

この叫ぶような力強さが、
テーマにぴったりハマってる。

この美を見よ!
オオオオオオー、ウーワアア!
って感じ(笑)

句切れも、
意味の切れ目というだけでなく、
音の切れ目を示します。
初句が字余りなのは、
強引にここで切れ!といわれている印象を与えます。

「その子はさ、はたちなんだよ!」

たとえば「はたちの子」ってやれば、
音律は合いますが、
リズムの生む力強さはどうでしょう?
比べてみて下さい。