国語教育いろいろ

高校、大学の現場での議論のいろいろです

自分が受けた古典の授業のやり方

自分の受けてきた古典の授業のやり方でいいのか、が話題になりました。

 

1 文法の基本知識を一通り学ぶ。辞書の引き方を学ぶ。

2 本文をノートに写す。

3 自分なりに品詞分解と現代語訳をして授業に臨む。

5 授業で当てられたら、訳や文法を答える。

4 先生は、本文を板書し、品詞分解と現代語訳の説明をする。

こんな感じが、

古典の授業のかつての定番かな。

文献解釈の力をつけるための方法として、

これは

間違ってはいません。

時代を超えた王道です。

初見で文献読解を要求される

入学試験が必須である限り、

どこかでこのトレーニングを行わないと

読める力はつきません。

共通テスト前に

どーすればいいか、

と聞きに来る生徒に助言するのは、

やっぱり、

この方法です。

(全文する必要はないけど)

しかし、国語教室としての

問題がいくつかあります。

1 文法の基本知識を一通り学ぶ。

暗唱テストなんかをやったりしますが、

ここで少なからぬ生徒が挫折します。

一方、できちゃう子もいるので、

私はダメだーになってしまう。

問題は、

食べる量が多すぎる、

例外に気を取られて、ゴチャゴチャする、

やってる意味がわからなくなる。

解決方法は、

この逆の戦略を考えること。

精選。

まず使える六割をカバーできればよし。

(文法は、まず理屈の理解、

そこから個々の具体へ。

結局、品詞の見分け、活用と接続の理屈、

助動詞、だけと言ってもいい。

敬語も含め、その他は語彙の問題)

本文読解とセットで学ぶ。

現代語では表現できない意味の違いが

古語では表現できるなど、

知識がテキストの魅力を高めることに注目させたり(昨日のきとけりへの注目とかね)

2 本文をノートに写す。

放っておけばやってこなくなります。

しかし、これは習慣づけなので、

方法はあります。

わざと時間を余らせたりして、

写す時間を取ります。

全部終わらなくてもいいんです。

やらないと、という教室の雰囲気が生まれます。

手間ですが、ノートを集めることも

効果があります。

イラストを描いたり、

板書以外のつぶやきをメモしてる子などが

発見されたら、

返すときに教室全体に聞こえるように

いいねー!とめちゃくちゃ褒めます。

真似する子が出てきます(笑)

自分なりのノートをしっかり作ることが、

古典学習の鍵だということを

繰り返し体験させると

やっていることが明確で、

後にも残り、

試験準備にもやる気が出るので、

「古典はいやじゃないな」という充実感を作れます。

私は文法の補助資料以外ワークシートはほとんど使いません。

入門期は特に自分のノートを作ることが

大事だし、チャンスだからです。

ただ、

二年生後半ぐらいから

本文が長くなり、

クラブや行事の中心にもなってきて、

写すことからの脱落率が上がります。

負債感が増し、

教科書に書き込んだり、

最後はネットでいいや

に陥ります。

本文を印刷したものを使いたい人には

渡すこともあります。

3 自分なりに品詞分解と現代語訳をして授業に臨む。

かつては教科書ガイド、

いまは、ネットという害悪がありますね(笑)

そんなものに頼らず

一定の時間をかけ、

できるところだけやること、

という指導は必要だし、

できます。

予習は「謎」を見つけておくことにある。

これは教えるべきことです。

慣れてくれば、

全部訳を書かなくても、

助詞や主語を補い、

わからないところに線を引いておく、

それだけで立派な予習です。

授業の前に全部解決しちゃったら

ネタバレ授業になるからね。

予習を課すときは

指示を明確に限定し、

彼らができる分量を設定すべきです。

5 授業で当てられたら、訳や文法を答える。

私は、

解釈については、

ある部分についてまず自分で

考え、また、調べ、

次に隣の人と答え合わせさせ、

その上で代表者に当て、

やりとりし、

「正解」と重要ポイントの板書、

補足、内容についての問いかけなどをします。

文法事項については、

解釈についての生徒とのやりとりの中で

明らかにしていきます。

訳もそうですが、

むしろ間違ってくれる方がいい。

「それ、自分で言っていても

意味が通じないと思わない?」

なんて聞く。

うん、という顔します。

そこは、

教室全体の課題にします。

●多くの人がわかってるはずのことなら

誰か助けて!と声をかける。

大きい声で言ってくれることもあれば、

隣の子とささやきあう子もいる。

それをキャッチしてやりとりに戻る。

●発言しにくい雰囲気なら、

全員に、せーのー、で、

言わせる。そしたら、出てくる。

●内容に関わるポイントについては、

もう一度、全員に隣の人と話させる。

当ててた人も相談したら、言えるようになる。

例えば、こんな進め方です。

4 先生は、本文を板書し、品詞分解と現代語訳の説明をする。

一方的な説明なら

ネットやYouTubeと同じこと。

先生のレクは、

生徒の活動を補うものに限る。

?を!にする過程を

生徒自身に体験させないと

言葉の神経は

伸びないし、

おもしろくないからね。