国語教育いろいろ

高校、大学の現場での議論のいろいろです

渡邉雅子『「論理的思考」の文化的基盤』(岩波2023)

▼渡邉雅子『「論理的思考」の文化的基盤』を読みました。前著も含め、国語教育に関係する者にとって、そう思って読めば、さまざまなヒントに満ち溢れています。構想する神経が刺激されるでしょう。
 米仏イラン日本の「思考表現スタイル」の違い、教育の違いを読む中で、自分たちのやってきたことや、やろうとしていることの根拠や由来が見えてくる。
 そして、これらの違いを知る立場に立つことで、「使えるもの」が見えてくる。国語教育の実践の歴史や他教科のやり方に触れたとき、その違いを認識するとともに、その応用を思いつくのと同じような感覚があります。
 しかも、「論理なるものは文化によって異なる」という根底に立った分析なので、「これからの教育は何々だ」式の浅薄さから思考が解放されます。あらゆる実践的財産は利用可能である。その思いを強くします。古典教育の問い直しにも有効だと思います。現場の人こそ読むとよいと思います。
 例えば、入試で作文の採点をする人は、自分が何をどのように評価しようとしているのか、見えてくるかと思います。

https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b631492.html