国語教育いろいろ

高校、大学の現場での議論のいろいろです

「私達には、和歌という表現がある。」 御手洗靖大(紹介)/『和歌文学の基礎知識』(谷知子著)(小池陽慈編集『つながる読書─10代に推したいこの一冊』所収)

(送ってもらったお礼に書いたもの) 御手洗靖大(紹介)/『和歌文学の基礎知識』(谷知子著)(小池陽慈編集『つながる読書─10代に推したいこの一冊』所収) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー (お礼、ここに書きますね♩) 本、送っていただいて…

渡邉雅子『「論理的思考」の文化的基盤』(岩波2023)

▼渡邉雅子『「論理的思考」の文化的基盤』を読みました。前著も含め、国語教育に関係する者にとって、そう思って読めば、さまざまなヒントに満ち溢れています。構想する神経が刺激されるでしょう。 米仏イラン日本の「思考表現スタイル」の違い、教育の違い…

比べるということ

比べるということ 入試で複数資料の比較の問題が出るようになってからか、現場でも読み比べをやる頻度が多くなった気がします。比較の原則みたいなことをちょっと書いてみます。 ⭕️比較の前提 比較することの前提は類似です。蟹とヒナゲシを比較しなさいと言…

小さな手袋

小さな手袋 お疲れ様でした!色んなツールを駆使した授業でしたね。 小説を読むことに役立つツール、スキルを学ぶという意図もはっきりしていました。 それはどんなものなのでしょう。今日出ていた観点をもう一度確認して、あの教材、または、別の作品に適用…

登場人物のキャラクターをAIに描かせる

登場人物のキャラクターをAIに描かせる AIの話が少し話題になりました。 こんな活動を思いつきました。 ⭕️「小さな手袋」の登場人物のキャラクターをAIに描かせる。 目的はAIに理解させるプロンプトを作成するという目標を設定することを通じて、作品から登…

本文を見て写すということ

本文を見て写すということ ⭕️本文を書き抜くことについて 小学校でやったことがあると思いますが、視写という活動があります。本文を見て写す。これにはこれ自体のめあてがあります。 かつては本文筆写そのものが学問の出発点でした。慣れてくると、一定の意…

「勧進帳」を中学生にやったときの授業レポート

「勧進帳」を中学生にやったときの授業レポートがここにあります。 ご参考に! https://f.osaka-kyoiku.ac.jp/tennoji-h/kenkyushu/kenkyushuroku35/

現実の社会での「対話」

現実の社会での「対話」 福島の未来会議の番組が興味深かったので紹介します。 こういう対話の場が社会に希望の種をまくような気がします。 各自の最後のまとめは、「結論」ではなく、対話を通して生まれてきた「問い」を書き出すそうです。それも興味深いで…

話し合いの形

話し合いの形 送られてきたレポートの中で話し合い、グループワークについて触れたものが目立ちます。模擬授業でも、話し合い、グループワークという活動が、授業の核になることが多かったですね。場が生き生きとし、 個々の思考も動きます。一方、課題も。…

国語教育いろいろ記事一覧(古い順)2024/01/31

kokugo2018.hatenablog.com kokugo2018.hatenablog.com kokugo2018.hatenablog.com kokugo2018.hatenablog.com kokugo2018.hatenablog.com kokugo2018.hatenablog.com kokugo2018.hatenablog.com kokugo2018.hatenablog.com kokugo2018.hatenablog.com kokug…

【目次】国語教育いろいろ記事一覧 2024-01-31

【目次】国語教育いろいろ記事一覧 2024-01-31 2024-01-01から1年間の記事一覧 2024-01-31夢十夜第六夜――文学作品の授業の過程夢十夜第六夜 いろんな学びを生かして、念入りに準備された授業でした。 ⭕️分析ー解釈というラインこの二つの次元を分けるという…

夢十夜第六夜――文学作品の授業の過程

夢十夜第六夜 いろんな学びを生かして、念入りに準備された授業でした。 ⭕️分析ー解釈というラインこの二つの次元を分けるという方法は他のみなさんも意識しておいてください。文学作品の授業の過程には、例えば、こんなものがあります。 ◯初読のなんとなく…

ありのままの世界は見えない――スモールステップ/例を用意する

ありのままの世界は見えない――スモールステップ/例を用意する 模擬授業お疲れ様でした!みんな来てくれてよかったね。 今日の鍵は、⭕️導入(第一時)の扱い方⭕️事例の扱い方⭕️教師の役割といったところでしょうか。 教科書のとは違う「だまし絵」を持ってき…

塞翁が馬――内容の深め方

塞翁が馬――内容の深め方 模擬授業お疲れ様でした!内容ど真ん中に迫ろうとする、とてもおもしろい内容でした。 内容はわかりやすく、下手すると、何も思考することなく、理解したつもりになってしまいそうなお話です。しかし、今日やったように、深め方はい…

魯迅「故郷」

魯迅「故郷」 模擬授業お疲れ様でした。戦後の中学の、文学教材の定番中の定番。挑んでくれてありがとう。 この作品が古びないのは、今日取り上げられたあのラストの「転回」に、私たちが、希望ー思想を現実にしようとするときに働く、根源的なモメントがあ…

聞く力――話す聞く活動

「聞く力」の模擬授業お疲れ様でした! 話す聞く力というのは、最も日常的であり、社会的であり、ほとんど人格にも関わるような本質的な言葉の力なのに、その効果的なレッスンが、学校でじゅうぶんになされているとは言いがたいです。 今日の授業をきっかけ…

コインは円形か補足 ――アクティブラーニングのアクティブって?

コインは円形か補足 模擬授業お疲れさまでした!生徒にじっくり考えさせたい、という意図はよく理解できます。 活発そうに見えるけれど、本質的な思考は何もしていない、という教室はあります。 というかアクティブラーニングが流行語になったころ、心配した…

檻の中の街 模範解答を用意すべきか

「檻の中の街」の模擬授業を見て この国で生活していると「難民」は遠い存在です。教科書の編集意図としては、「写真と文章の情報伝達の違い」という情報処理ベースの課題とは別に遠い存在をありありと理解する、しようとする態度や想像力にも焦点が当てられ…

村上春樹「鏡」ー多様な解釈への離陸

模擬授業、お疲れ様でした!いろんな解釈が可能な小説、その本丸に挑んでくれました。 国語教室を運営するときのポイントもおさらいしつつコメントします。 ⭕️参照範囲の限定 40人分の視線を制御するのはほんとにたいへんです。問いを生徒に投げたとき、生徒…

やっぱり好きな食べ物

陸上の田中希実選手と黒柳徹子の対談をテレビで見た。冒頭、田中選手が「緊張でうまく話せるかわからない」というと、間髪を容れず、「好きな食べ物は?」って黒柳徹子が聞いた。シュークリームとかなんとか田中が答えて、一気に場が和んだ。やっぱり、食べ…

セミロングホームルーム テキストの読ませ方

模擬授業お疲れ様でした! おもしろい教材でしたね。 やりたいこともはっきりしていたし、 そのための準備も入念でした。 話題になった 「どう読ませるか」問題。 整理しておきます。 ⭕️一読/再読 ⭕️黙読/音読 ⭕️全読/部分読み 実際には、 これらの組み合…

枕草子 春はあけぼの 中学古典

古典への興味をどうやって喚起しようか、 という観点から構想された単元案だったと思います。 協議での意見も参考にし、 現場の実態も捉えながら、 進化させていくことができるだろうと思います。 ⭕️五十音図 ○先生が言われた五十音図。 高校の導入では必ず…

「小さな手袋」(内海隆一郎)中学二年

模擬授業、お疲れ様でした! 色んなツールを駆使した授業でしたね。 小説を読むことに役立つツール、スキルを学ぶ という意図もはっきりしていました。 それはどんなものなのでしょう。 今日出ていた観点をもう一度確認して、 そういうスキルを あの教材、ま…

枕ー大納言参りたまひて 語り口、誰がいるか

みなさんの意見のなかから 共有しておきたいことを覚えとして書いておきますね。 ⭕️語り口 模擬授業担当者のあの語り口、持っている雰囲気は、財産です。誰もがそれぞれの個性を潜在させていますが、自分では気づかないときもあります。公開授業で指摘しても…

古典の準備 「方丈記模擬授業」補足とまとめ 2017.5

「方丈記模擬授業」補足とまとめ ○指導者は、・完全な品詞分解と正確な現代語訳に加え、・話の本質を捉え、生徒に伝わる(現代的な・日常的な・場合によっては若者言葉的な)表現も考えておく。・書き手の動機、書き手の置かれた(描かれた話題の)歴史社会…

ありのままの世界は見えない

模擬授業お疲れ様でした!みんな来てくれてよかったね。 今日の鍵は、⭕️導入(第一時)の扱い方⭕️事例の扱い方⭕️教師の役割といったところでしょうか。 教科書のとは違う「だまし絵」を持ってきたのは、おもしろかったです。生徒の意見を整理するときに、人…

象は鼻が長い

昨日、協議で言及があった『象は鼻が長い』について少し補足します。これは三上章という人の本のタイトルであり、そこで取り上げられた有名な例文です。 昨日の授業の手順どおりやるなら、⭕️文末にある「長い」に述語の印を入れる⭕️何が長い?、何は長い?と…

言語文化としての「夢十夜」

先日の模擬授業などを通して、思いついたことを書いておきます。 第一夜には「夢」「男と女」「生死」「時間」といったモチーフが出てきます。 そう思ってながめると、これは古典とつないで考える単元が構想できるのではないか、と思ったのです。「夢」つな…

万博についての討論の授業

(2018.12)*5年前に万博について討論する模擬授業が行われていたことを発見。大学生おそるべし。ーーーー実際の教室でやってみたいと思うアイデアでした。高校生にやらせるなら、●万博を意義あるものにするための課題は何か?という問いかけにしようと思い…

伊勢芥川ー思いを遂げた瞬間、失うということ

(2017.4)【伊勢物語芥川の模擬授業後】今日の伊勢の芥川について、あの話は、「想う人と思いを遂げたと思った瞬間にそれを失う」という、一つの話型なのだと気づきました。帰りの電車で。 あそこで永遠に失われたのは、「あれはなあに?」(不安)「あれは…