生まれて初めての模擬授業お疲れ様でした!
文学に挑んでくれて、
みんなの学びにもなったと思います。
小説はやっぱり生徒の記憶にー心に残ります。
「論」とは違って、
具体的な色形のある世界を味わうからでしょうね。
だからこそ、そして、教室でわざわざ扱うからこそ、小説を読むときに使う豊かな言葉の神経を伸ばすことを目指したいですね。
羅生門のような作品なら、
昔の話とはいえ、
描かれていることは、
客観的なこととしてとりあえず捉えることができます。
雨が降ってた、とかね。
でも、今回のは夢を描いてる!
とはいえ、小説読解の基本ーー文字からありありとその描写をイメージすること、が重要だという点には変わりありません。
いったい、この、男性と思われる「自分」は、どんな姿勢で、どのくらいの距離で、女と向き合ってるのだろうか。
そう問うても、夢だし、一人称の語りなので、彼を客観的に描写する視点は見つからない。
でも、彼が
女を見つめ、女の様子を語る、その描写にみっちりついていくなら、
彼の身体や内面の手触りがなんとなく
わかってくる。
わかってくるように、
問いをしかけていくのが
先生の役割になります。
色への注目は、
女のいのちの生き生きした感じ、
女のもつ魅力的な美の感じ、
そしてそれに引き込まれている彼の内面に
気づき、共有する手立てになります。
そういう意図を持って課題を設定すると
うまくいくものです。
先日のお二人の構想に立つなら、
⭕️赤、白、黒、瞳、写る姿ー色彩やかたちを手がかりにして、その場面をありありと捉える。
まず、こういう感じで冒頭に絞って、活動をするのがよいと思います。それがひいては、この二人の関係を読み取ることにもつながっていきます。
もう一つ、この作品については、「夢」という特殊な設定がありますから、
⭕️「夢」の形象(いろんな形となって現れてるもの)が何を意味するのか?
という課題があり、また、それがおもしろいところです。
言葉は、たんなる情報を超えた象徴的な意味を帯びます。言葉が放射する象徴性を読み解く力は、じつは現実の生活に大きく関係すると思います。
リアルな小説の言葉ももちろん、
象徴性を帯びますが、
夢の話はさらに意味は重層的に乱射します。
女は一面、生き生きと美しい印象を与える。
なのに一方、
もう死にます、と言う。
「自分」にはそれがふしぎだと感じられている。読み手ーー生徒にもそれはふしぎです。というか、このふしぎな感触に注目するところへもっていく仕掛けを考える。
⭕️夢のふしぎさを読み取る。
こうめあてを立ててみれば、
いろんなふしぎさに気づくことでしょう。
そして、それらが、すべて、
男の主観、願望、なんらかの現実に由来していて、それが夢独特の形象となって現れていることに生徒たちが気付けるように
ていねいに活動を組み立てていくことが大切です。
そのために前提となるのが、
教師自身の深い教材研究です。
今年の春学期、五限ではこの夢十夜の教材研究をみんなでやりました。
その時の議論の一部を参考に貼っておきますね。ぜひ見てください。
(夢を材料にした描写について考えるときのポイントは、夢は醒める、ということです。夢を描いている場所は、夢から覚めている現実です。これは、回想の描写をしている語りの現時点に対応します)
https://kokugo2018.hatenablog.com/entry/2023/07/05/104639