新聞のコラムで学ぶ漢字
「今年の漢字」を使った教材を作りました。
【めあて】なんとなく見ている漢字をその形までよく見たり、漢字の表す意味の広がりに気づいたりしながら、今の自分にとって意味のある漢字を見つけてみる。
・形をよく見る(漢字は象形文字)
・一字が表す意味の広がりを知る
・自分の今を表す字を探す
○次は、二〇二四年一二月一二日の新聞のコラムです。一段落ずつ、問いを考えながら読んでいきましょう。①から⑥まであります。
① 幻と幼、綱と網、萩と荻。漢字を書くときに一瞬迷うことがある。なかでも巳、已、己のトリオは、取り違えやすさの筆頭格だ。縦棒をどこから始めるかだけで、音も意味も変わってしまう。
・それぞれの漢字の読み(訓読み・音読み)を書こう。
ア 幻 (訓読み) (音読み)
イ 幼 (訓読み) (音読み)
ウ 綱 (訓読み) (音読み)
エ 網 (訓読み) (音読み)
オ 萩 (訓読み) ヒント「御萩」(お菓子の名前)
カ 荻 (訓読み) ヒント「荻野目洋子」(歌手の名前)
・アイウエから一つ選んで、その字を含む熟語を書こう。(ぜんぶやってもいいよ)
② 昔の人たちも苦労したのだろう。覚え方をこんな歌にしている。「ミは上に、スデニ・ヤム・ノミ中ほどに、オノレ・ツチノト下につくなり」
・「覚え方」の歌が意味していることを整理してみよう。どこが違うのかな。なんて読むのかな。
ア 巳
イ 已
ウ 己
・「巳、已、己」をそれぞれどこかで見かけたことはあるかな。
▼イの例 已むを得ない 已然形
③ 辰(たつ)年から巳(み)年へ。今年も残り二十日となり、年賀状などの準備をしながら、この一年をふり返る時期になってきた。京都・清水寺では、日本漢字能力検定協会による「今年の漢字」が、きょう発表される。墨痕鮮やかにしたためられる一文字は、さて何だろう。
・二〇二四年の「今年の漢字」は何だったかな。知っている人は発表しよう。
④ 闇、裏、米などと過ぎ去った出来事を思い浮かべつつ、わがトーナメントを勝ち抜いたのは「選」である。まさか、ああした結果になるとは。SNSというネット空間の中で、支持者たちが互いの声を高めあう。米大統領選でトランプ氏は完勝を果たし、日本の衆院選では自公が過半数割れに。韓国やインドの総選挙でも、与党が苦杯をなめた。
・「闇、裏、米」とは、それぞれどんなできごとを指しているのかな。
・「ああした結果」とは何だろう。筆者はどうして「選」を思いついたのだろう。話し合ってみよう。
⑤選挙制度をないがしろにするふるまいも目にあまった。はなから当選するつもりのない候補者が出て、他陣営にエールを送る。選挙演説という名のもとに威圧的な言動をまきちらす。こんなことが繰り返されては、民主主義は壊れてしまう。
・これはどのようなニュースのことをいっているのだろう。知っている人は発表しよう。
・筆者が「選」を「今年の漢字」にえらんだわけをもう一度考えよう。筆者にはどういう思いがあるのか、読み取ろう。(今年はこんな年だった、来年はこんな年にしたい。そんな思いがあったのではないかな)
⑥じっと見つめれば、「選」の中には「己」が二人。何かを選ぶときに大切なのは、複合的な視点でものを見て、よく考えること。漢字もきっとそう教えている。
・「「己」が二人」とはどういう意味なのだろう。何が「二人」いるのだろう。
・「漢字もきっとそう教えている」といっているが、選という漢字は、何を私たちに教えているというのだろう。
・筆者の言うような点に注意して「何かを選ぶ」とは、どんなふうに選ぶことなのだろう。身近な具体例を考えてみよう。
例 服を選ぶとき……。アルバイトを選ぶとき……。
■活動 あなたの「今年の漢字」一字を選び、一分以内でスピーチしてみよう。
・いくつか候補を選んだ上で決めよう。
・来年はこんな年にしたい!という一字も付け足してもいいね。
・内容をメモしてみよう。
・スピーチをするときは、なるべくメモを見ないようにしてみよう。